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カラヤンの実像 [クラシック音楽]

 昨日、NHK BS-hiでカラヤン生誕100周年の特別番組をやっていた。すべてBDレコで録画してあるので、これから中身を見ながらBDに移して保存する予定で、すでに一部は見始めているが、特に「ヘルベルト・フォン・カラヤン~その目指した美の世界~」というドキュメンタリーは興味深いものだった。これまでにあまり語られることの無かった、ウルム時代の事件やバーンスタインとの親交、ソリストとの衝突と別れなどが綴られていた。
 今回初めて知ったことが多いが、その一つ。クリスタ・ルートヴィヒって、子供のころに家にカラヤンが遊びに来ていたんだそうだ。まだカラヤンがアーヘンにいた時代のことである。また、ルネ・コロがカラヤンとぶつかったのは、声が出なくなっていたからだそうだ。ルートヴィヒやヤノヴィッツも同じ。この辺は妥協無く最良の音楽を追い求めるカラヤンの断固とした姿勢が伺える。
 バーンスタインについては、面白い描写をされていた。要するに二人は正反対のアプローチで音楽に臨み、人生についても両極の処し方をしていたという。カラヤンは、バーンスタインを自分の手兵ベルリン・フィルに招いたのは1回しかなかったが、今回のドキュメンタリーで見た限り、お互いのことは認め合っていたようである。笑ってしまうのが、コロがカラヤンと決別してから間もなく、知ってか知らずかバーンスタインから出演の依頼があったそうな。
 それにしても、現在第一線で活躍している多くの指揮者がカラヤンの薫陶を受けていることが改めてわかった。現在のベルリン・フィルの主席指揮者であるラトルやヤンソンス、ティーレマンなど。これほど後進の指導に携わった有名指揮者は少ないであろう。よく言われることだが、カラヤンは自身下積みでの苦労が長く、フルトヴェングラーから嫌われて排除されていた経験から、才能ある若手に対する援助を惜しまなかったという。キーシンとのエピソードも心に残る。滅多に涙を見せたことの無いカラヤンが、若きキーシン(当時まだ17歳)の演奏を聴いて、目を潤ませて彼の母親に「彼は天才です」と語っていたそうだ。
 毎日朝早くから起きて楽譜を勉強して、オペラも交響曲も暗譜していたという恐るべき努力と強靭な意志を持っていたカラヤン。とかく独裁者とか、権力欲の強い指揮者という言葉で語られがちなカラヤンだが、その全ての根源は音楽に対する飽くなき追求から来ているという感を、今回の番組を見て一層強くした。
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