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上南摩上の城(栃木県鹿沼市) [古城めぐり(栃木)]

DSC01066.JPG←主郭虎口の内枡形
 上南摩上の城は、上南摩を領した佐野氏系南摩氏の居城である。上南摩下の城のところでも記載したが、遺構の規模から考えて上の城が本城で、下の城が出城と考えられる。
 城は広厳寺背後の山上に築かれているが、広厳寺裏からではなく、寺から少し東に離れた南の尾根筋から登城した。このルートは最初の20~30mは道が無いので適当に斜面を直登するしかないが、尾根筋に出てしまえば、冬場ならば藪も少なく非常に楽に登ることができる。この尾根筋の中腹には、小さな堀切と枡形虎口の遺構らしきものも見られた。ちょっとした平場もあり、番所などが置かれた曲輪の可能性もある。
 山上に到達すると、主郭を中心とした充実した遺構群が待ち受けている。主郭虎口には、下の城よりも一回り大きな、明確な内枡形が築かれ、その前面には横堀を挟んで土塁が横たわる。これも下の城同様、木橋で連結されていたものと考えられる。主郭は背後にわずかな土塁があるほかは周囲を巡る土塁は無く、思いのほか無防備である。主郭の周囲には、2段の腰曲輪が取り巻いている。この腰曲輪は、主郭背後では堀切状になっており、腰曲輪下の大堀切と合わせて、斜面に沿った三重堀切に近い構造になっている。その先にも尾根筋に沿って、広めの曲輪が堀切と交互にそれぞれ4つほどある。こちらの堀切は大した規模のものではない。
 一方、城の中枢部より北の斜面には屋敷地と思われるような平坦な地形が数段にわたって展開している。家臣団の屋敷があった内小屋であろうか。もしそうだとしたら、南側に主郭がそびえているので、真夏以外はほとんど日が差さない。こんな所に住まわされたら、家中カビだらけになるわ、洗濯物は乾かないわで、さぞ暮らしにくかろうと思ってしまう。この先は山麓まで緩斜面となっているようなので、こちらにも登城道があったのかもしれない。そのほか、主郭の南東側には数段の段曲輪も見られる。
 下の城と基本的な縄張りは非常に似ているが、かなり規模が大きく、居住性も併せ持った山城であった。

 ところで上南摩上の城は、色々な城郭サイトで非常に登城のきつい城として書かれている。その為、この冬の目標の一つともして覚悟していたのだが、幸いにもHYDさんのサイトに南尾根筋からの攻略法が書かれており、大変役に立った。この場を借りてお礼を述べたい。貴重な情報をありがとうございました。
南尾根中腹の枡形虎口→DSC01033.JPG
DSC01086.JPG←大堀切

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.547153/139.678781/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
タグ:中世山城
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