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三水城(長野県坂城町) [古城めぐり(長野)]

DSC05029.JPG←本郭背後の五重堀切
 三水城は、狐落城の尾根続きの後背にある山城である。麓からの比高は380m程にもなる。狐落城からの尾根筋に登山道が整備されているので、狐落城同様安心して登ることができる。しかし道は所々急峻で、ロープを伝わらなくては昇り降り困難な区間が狐落城以上に多い。

 登山道途中には、小堀切のほか、道をえぐる様に作られた竪堀が数本見られる。尾根筋から斜面を迂回して登ろうとする敵を防ぐためのものだろう。また城に近づくと、尾根道の左側に数段の段曲輪が現れて城の前衛を固めている。尾根道の右側斜面には長い竪堀を見ることもできる。本郭の前面には堀切があり、その更に前には大きな岩の壁が立ちはだかって敵の侵入を防いでいる。本郭は最高所に位置し、石垣も一部に見られるが、狐落城ほどの規模ではない。本郭の面積は狐落城よりやや大きいぐらいであるが、その背後の尾根には何と五重堀切(!)が構築されている。五重というのは山家城以来二度目である。大きさは山家城のようなバカでかいものではないが、深さ1.5~2m程で明確に掘られていて見事である。この五重堀切を越えた先には、くの字に曲がった曲輪があり、広さから考えてニノ郭であろう。その先の尾根道を降っていくと合計3本小堀切と尾根上の縦長の曲輪が交互にあって、三水城の城域は終わる。

 この先は高低差の少ないなだらかな尾根道で摺鉢山へと繋がっているが、摺鉢山には竹把城があったので、竹把城との連絡路があったことはほぼ間違いない。このルートを使えば、室賀峠を通らなくても最短ルートで室賀方面と本城の葛尾城との連絡ができ、村上氏にとって戦略上重要であったことが想像できる。

 一方、本郭の南東側の支尾根に向かっても2本の堀切と2つの段曲輪が交互にあって、本郭の防御を固めている。

 城の規模と縄張りの充実度から考えて、三水城が本城で狐落城は出城に過ぎなかったことがわかる。思うに、武田方の軍記に言う狐落城とは、三水城と狐落城を一体とした複合城郭の名前だったのではないか?支城のそのまた出城が落とされただけでは、村上義清が落ちざるを得ないほどのインパクトはなかったであろう。

 それにしても五重堀切とは・・・。やはり長野の山城は1級品だ。

登山道をえぐる竪堀→DSC05134.JPG
DSC05031.JPG←本郭への侵入を阻む岩の壁
本郭の石垣→DSC05052.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.433593/138.169636/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
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コメント 2

ノリパ

尾根が見事に削られている。すごいところですね。
by ノリパ (2009-06-16 07:04) 

アテンザ23Z

>ノリパさん
この城はお勧めです!登りはきついですが。
by アテンザ23Z (2009-06-17 21:35) 

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