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大モンゴルの世界 [雑感]

10月に私が約10年間待ち望んでいたドキュメンタリーが再放送された。
かつてNHKで放送された「大モンゴル」である。

最初に放送されたのは1992年ということだが、
当時まだ放送されたのを知らなくて、
大都の復元CGが放送された回だけ、
たまたま見ることができた。

そしてようやく10年ほど前に再放送されたのだが、
これまた気付いたのが遅くて、録画できたのは第2回から第4回までだけ。
最終の第5回は録り逃してしまった。
以来、ずーっと再々放送されるのを待ち望んでいたのだが、
それをようやく全て手元に録り揃えることができた。

やはり本で読むのと映像で見るのとは大違いで、
イラン高原に勢力を持っていた教団イスマーイール派の城塞など、
比高300mの断崖上に築かれた要塞で、
ほとんどロッククライミングのようにしないと登れない要塞だ。
日本の峻険な山城も、楽勝に思えてしまうほどである。

また、フレグ・ウルス(俗に言うイル・ハン国)で書かれたフランス王への親書は、
ペルシャ(現在のイラン)で書かれたモンゴル語の手紙に、漢文の玉璽が押されているという、
世界帝国モンゴルの広がりをそのまま形にしたような印象深い手紙だった。
そして最後まで残ったチンギス裔による国家、クリミア・ハン国の城塞など。

しかし今回よくわかったのが、決してモンゴルは一過性の嵐ではない。
その後の世界の歴史に大きな影響を与え続けたということだ。

先月、「大モンゴル」が放送されるのと相前後して、
岡田英弘氏の書いた「モンゴル帝国の興亡」という本を読んだが、
岡田氏の言うモンゴル帝国とは、1300年代に分散消滅したモンゴルではなく、
はるか後代まで続いたモンゴル勢力全てを指していた。

日本の中学・高校で習う世界史は根本的に間違っていて、
かつて中世までは世界の中心がアジア・中東であったことを忘れて、
西洋中心主義に凝り固まっているのだが、
モンゴル帝国についても、中国で明が元を駆逐して、
それで終わったかのように教えている。

しかしそれはとんでもない間違いで、
モンゴルは中国を放棄しただけで、
中国北方の草原地帯で、相変わらず強大な勢力を保持し続けていた。
ただかつてのまとまりは失われていて、
チンギス裔やそれを戴く有力者が群雄割拠するようになっていた。

そして世界各地で後に続く国は、みなモンゴル帝国の勢威を背景に成長した。
ロシア帝国、ティムール帝国、そして清王朝。
これらの国ではモンゴルの有力者がそのまま王朝の貴族層として勢力を持っていた。
イワン雷帝などは、自己のモンゴル(ジョチ・ウルス)の後継者という正当性を確立する為か、
一旦、チンギス裔の貴族に譲位したりしている。

遥か時の彼方に消えたように見えるモンゴル帝国の残影は、
現在の歴史の裏側にしっかりと残っているのである。
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