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九々布城(福島県下郷町) [古城めぐり(福島)]

DSC03569.JPG←弧を描くダイナミックな二重土塁
(2010年12月訪城)
 九々布(こうぶ)城は、日向城とも呼ばれ、阿賀川の支流観音川の北岸に立つ比高100m程の山上に築かれた山城である。日向五郎昭光の居館であったと言われるが定かではない。石田明夫氏のHP「会津の歴史」に拠れば、1600年に徳川家康の会津侵攻に備えて上杉氏が築いた城と考えられる。上杉景勝の執政直江山城守兼続は、実弟大国実頼を鴫山城に置いて、鶴ヶ渕城の構築と共に鴫山城を大改修して会津西街道の一大要害としたが、その際に佐藤氏に命じて九々布城を築いたとされる。しかし結局、実戦には使われず、そのまま上杉氏の米沢移封に伴って廃城になったのだろう。

 九々布城は、比較的傾斜の緩い山上にあるが、南側の山裾は観音川に落ち込む急崖となっている。山頂の主郭から南西に広がる傾斜地を城域に取り込み、主郭も含めて周囲をやや裾の開いたU字型の二重土塁と空堀で防御した、独特の縄張りとなっている。この土塁と空堀で外周線を囲んだ構成について、石田明夫氏は鴫山城外郭線との共通性を指摘されている。最上部には主郭が置かれ、その周囲に数mの段差を付けて二ノ郭が置かれている。主郭と二ノ郭の外周は土塁で防御され、虎口が二ヶ所設けられている。また土塁には、一部に石積みが残っており、石垣を部分的に持っていた城だったと思われる。会津西街道の通る西面に広がる平野部を押さえるには絶好の地で、現在でもその眺望が素晴らしく、城をここに築いた意味がよくわかる。それほど大きな城ではないが、とにかく二重土塁が素晴らしい。緩やかに弧を描く見事な土塁の塁線は、冬場に薮に遮られることなく眺めたい。
反対側から見た二重土塁→DSC03572.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/37.253056/139.888611/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1
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ノリパ

きれいな二重土塁ですね。冬ならではの光景ですね。
by ノリパ (2011-04-24 09:00) 

アテンザ23Z

>ノリパさん
やっぱり山城は冬に限ります。
夏場だと薮がひどくて、苦労が報われません・・・。
by アテンザ23Z (2011-04-24 21:35) 

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