善波館（神奈川県伊勢原市）

←三嶋神社の境内
　善波館は、鎌倉時代にこの地の領主であった善波氏の居館である。平安末期の善波太郎重氏に始まる一族で、鎌倉時代の1254年には善波又次郎が執権北条氏から鎌倉幕府小侍所衆に加えられ、以後将軍を警護したと言う。また南北朝時代～室町時代にかけては、終始鎌倉公方足利氏に従った様である。三嶋神社に書かれている善波氏歴代の事績によれば、鎌倉公方足利持氏の時代から後の事績が伝わっていない様なので、永享の乱で持氏が滅びると善波氏も没落したと思われる。
　善波館は、現在の三嶋神社の地にあったと伝えられている。善波川の北に位置する丘陵地の中腹に位置し、伊勢原市街が一望できる地にある。地勢は居館を置くに好適だったことが窺われるが、遺構は湮滅しており往時の状況を推測することは難しい。ただ、神社背後の丘陵上には小さな平場や堀跡らしい地形が散見され、神社境内の前面にも腰郭のような平場がある。神社の手前の畑地にも数段の平場があり、後世の改変の可能性が高いものの往時の遺構の一部である可能性も捨て切れない。その様な不分明な状況であるが、神社境内入口には「善波一族館址」の石碑が建っており、居館があったことを今に伝えている。

　お城評価（満点=五つ星）：☆
　場所：http://maps.gsi.go.jp/#16/35.390659/139.264144/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f0

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