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竹田城(兵庫県朝来市) [古城めぐり(兵庫)]

DSC04049.JPG←朝日の当たる南千畳
 竹田城は、「天空の城」として国内で最も有名な山城の一つである。元々は、但馬守護山名氏の重臣で山名四天王の一、太田垣氏の居城であった。太田垣氏は但馬の国人領主であったが、南北朝期に足利氏の重臣山名時氏が但馬守護となると、同族の八木氏と共に山名氏に臣従した。そして垣屋氏や田結庄氏と並んで、山名四天王と称された。山名宗全(持豊)が、1441年の嘉吉の乱の際に赤松満祐の討伐で功を挙げ、播磨守護職を与えられると、播磨・丹波から但馬への侵入路に当たる要衝に13年を費やして築いた城と言われている。そして太田垣光景を竹田城に置き、以後太田垣氏7代にわたる歴代の居城となった。応仁の乱以後、山名氏は没落し、戦国後期には東から織田信長の勢力が伸長し、信長の部将羽柴秀吉は中国平定を命ぜられて、播磨・但馬に侵攻した。1569年と1577年の2度にわたって秀吉の攻撃を受けて、竹田城は2度とも落城し、2度目の落城後は秀吉の実弟羽柴小一郎秀長が城代となって城を整備した。1580年に但馬を平定した秀吉は、桑山重晴を城主とし、1585年には四国征伐で軍功のあった龍野城主赤松広秀を竹田城主とした。この秀長から広秀に至る時代に竹田城は大改修を受け、総石垣の山城として変貌したと推測されている。1600年の関ヶ原合戦の時に赤松広秀は鳥取城を攻略したが、城下を焼き払ったことで徳川家康の怒りを買い、切腹となった。竹田城はそのまま廃城となった。

 竹田城は、今では説明の必要もないぐらい有名な総石垣の山城で、山上にそびえるその遺構の荘厳さは言語を絶する。天守台を頂く本丸を中心の最高所に置き、本丸の北東に二ノ丸・三ノ丸・北千畳の各曲輪を配置し、南には南二ノ丸・南千畳を配置している。また本丸周囲は腰曲輪で囲み、西側に花屋敷と呼ばれる方形の曲輪を置いている。これら山上の曲輪群は全て石垣で囲繞され、各虎口は巧みに屈曲された枡形虎口となっている。要所には櫓台も配置されている。いずれも見事な遺構で見ているだけで溜息が出てくる。しかし城の規模を冷静な目で見ると、実はそれほど大規模な城ではない。利神城などと同規模で、置塩城感状山城の方が遥かに城の規模は大きい。

 以上は、純然たる戦国末期に築かれた近世山城の姿であるが、竹田城には中世山城としての遺構も山中に散在している。現地解説板の縄張図によれば竪堀も数本構築されているが、いずれも深い藪の中に埋もれていてほとんど確認することができない。中腹の駐車場からの搦手直登コースの途中には段曲輪と堀切も確認できる。また山腹には井戸跡や、登り石垣とされる遺構も確認できる。但し、この登り石垣は、山頂から山麓までのある範囲を完全に取り囲んで敵の侵入を防御した、伊予松山城などで見られる所謂「登り石垣」とは形状が異なり、石垣で囲まれた段曲輪の付随施設で、竪石垣と言う方が正しい様だ。この遺構は全く道のない斜面を藪こぎして行く必要があり、しかも石垣の崩落が進んでいるので、経験豊かなキャッスラー以外にはお勧めできない。

 今回、竹田城を訪れたのは秋口で、一番混む時期ということで朝5時に駐車場に入ったが、既に山上の駐車場はほぼ満車状態であった。城に来ている人は雲海と日ノ出見物が多く(今回は残念ながら雲海は出現しなかった)、純然たるキャッスラーはもちろん、アマチュアカメラマンですら少数派であった。古城が有名になるのは嬉しいことだが、心無い人によって遺構が荒らされるかも知れず、ちょっと不安を持たざるを得ない。朝来市には、観光目当てだけではなく、史跡保護にも一層努力して欲しい。
天守台遠望→DSC04059.JPG
DSC04342.JPG←中腹の堀切

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/35.300469/134.829100/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1
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ノリパ

星5つ出ました!竹田城は、イイですね。それがしもまた行きたいデス。
by ノリパ (2012-04-21 14:13) 

アテンザ23Z

>ノリパさん
竹田城に星5つは当然ですよ~。
そうしなかったらバチが当たります(笑)。
今は異常に人が多いようですので、
少し竹田城人気が一段落してからの方が再訪にはいいかも知れません。
by アテンザ23Z (2012-04-21 21:00) 

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