谷城（埼玉県滑川町）

←主城部から離れた東部の横矢空堀
　谷城は、1980年に発見された、歴史不詳の城である。低地を挟んで山崎城と相対する様に、比高20m程の丘陵上に築かれている。その間、わずか350m。山崎城などと連携して築かれた長享の乱頃の陣城とか、或いは山田城を押さえる為の城だったなど、諸説がある。
　谷城は、山林の藪の中に遺構が良好に残っている。薮が酷いとの話がネット上にあったが、突入不可能なレベルではなく、遺構の確認には差し障りはない。西端に主郭を置き、土塁・堀切を挟んでニノ郭を連ねただけのシンプルな縄張りで、ニノ郭東側にも堀切が穿たれている。この2本の堀切は北側で合流し、それ以外にも2つの堀切を繋ぐ堀があるなど、堀のネットワークが面白い。また北側斜面に腰曲輪が数段確認できるが、堀底道が腰曲輪への繋がっており、城内動線も明瞭である。この主城部からやや東に離れた部分にも、横矢の掛かった空堀・土塁が存在している。この堀の西側には自然地形の平坦部や墓地があり、更に主城部との間の谷戸には数段の平場があり、耕地化による改変が考えられるものの、いかにも簡単に構築された陣城らしい趣である。山田城が小田原の役の時に落城したとの伝承が正しければ、山田城攻防の際に前田利家勢が築いたものである可能性もあるだろう。

　お城評価（満点=五つ星）：☆☆
　場所：http://maps.gsi.go.jp/#16/36.071831/139.372698/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0

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