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ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン来日コンサート2012 [クラシック音楽]

昨夜、サントリーホールでのコンサート。
今回のティーレマン/ドレスデンの来日シリーズでは最後の公演である。
そのせいか、ティーレマンはちょっと疲れている様に感じる場面もあった。

曲目は、Wagnerの「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死、
それとBrucknerの交響曲第7番。
Wagnerと、彼の熱烈な崇拝者だったBrucknerが、
Wagner死去の報に接して、涙を流しながら作曲したと言われる7番だから、
最高の組み合わせである。

オケは、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に向かい合わせた対向配置で、
コントラバスを第1ヴァイオリンの奥に置いていた。
オケの人数は、昨今の欧州経済危機の影響ではないとは思うが、
ヴァイオリン群の後ろに1列スペースが余っており、
Brucknerを演奏するにはやや小編成だったと思う。

まずWagnerであるが、
さすがにバイロイトなどでも好評を博しているティーレマンだけあって、
抑揚をつけた陰影のある表現は素晴らしい。
しかし全体にかなり抑制を効かせた演奏で、
音の洪水に流されるような感じではなかった。

次は小休憩を挟んでBrucknerの7番。
これは正直、ちょっと期待はずれ。
まず対向配置がマイナスに働いた。
こちらの席が第1ヴァイオリンに近かったせいもあると思うが、
弦楽の一体感がなく、音が分散される感じで、
Brucknerの重厚な響きがあまり迫ってこない。
オケが小さめの編成だったのも、音量に影響したと思う。

アンサンブルの精度も、
ドレスデンは世界のトップ・オーケストラと比べるとほんの少しだけ落ちるようだ。

そしてBrucknerの命とも言える、
楽節と楽節の間(ま)の取り方だが、
コンマ数秒というわずかな時間に過ぎない微妙なレベルだが、ちょっとだけ間が足りない。
その為、全体の演奏はゆっくり目なのに、
急いでいるように感じてしまう。

テンポも、以前に聴いたBruckner第8番の時より、
揺らす部分が多かったようだ。
もう少しインテンポで自然な流れで演奏した方が、Brucknerは良いと思う。

2年半前に聴いたティーレマンのBrucker第8番が素晴らしかったので、
今回も期待していたが、ちょっと残念だった。

尚、アンコールはなし。

さすがに日本でもファンの多い指揮者で、
空席はほとんど無いようだったし、
オケの退出後も拍手が鳴り止まず、
ティーレマンは更に2回も出てきて喝采を受けていた。

ちなみに、最近はコンサートのパンフが小さく薄っぺらいものになって、
昔より安くなった。(今回は500円。)
これも長引く経済停滞の影響だろう。
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evergreen

評価(というか好みですかね)が別れる方ですよね。
by evergreen (2012-10-29 01:12) 

アテンザ23Z

>evergreenさん
そうですね。
今や名だたる巨匠の一人ですから、
Brucknerではもう少し自然体で振ってもいいのかも知れません。
by アテンザ23Z (2012-10-29 19:04) 

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