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牛房野楯(山形県尾花沢市) [古城めぐり(山形)]

DSC08271.JPG←主郭と物見台
 牛房野楯は、最上25館の一つで、牛房野三七が楯主であったと言われている。
 牛房野楯は、牛房野川北側の比高90mの山上に築かれた山城である。南に伸びる尾根筋に大手があったらしく、先端部からわずかに山道が残っている。この尾根を登って行くと、いきなり深さ5m程のゴツい堀切が現れる。斜度もきつい鋭い薬研堀である。その先はやや幅広の緩斜面に出るが、途中に中央の土橋を削り残した浅い堀切がある。この堀切は、両側の堀が食違いに穿たれ、中央の土橋をS字状に屈曲させたものである。その先に行くと、この城の見どころの一つである三重堀切が現れる。三重堀切は、真ん中はやや小型で、3本目が深さ4m程で比較的規模が大きく、登るのに苦労する。この堀切群は、北側斜面でそのまま三重竪堀に変化して落ちている。その上の標高210mの位置にかなり広大な曲輪がある。居館群や倉庫などがあったものと思われる。その先は多くの塁段が築かれ、動線も大きく右方に屈曲させている様だ。その先を登ると腰曲輪に枡形虎口がある。広い腰曲輪が2~3段あって、ようやく主郭に到達する。主郭には背後に物見台が築かれ、その手前に井戸跡が残っている。主郭背後のあまり明確ではない堀切の先の尾根には、更に外郭が伸びており、最前段の物見台と笹曲輪状の前郭と外郭本体の3つで構成されている。それぞれ、深さ1~2m程の堀切で区画され、外郭の中央には二重の土塁が築かれている。その先は特に遺構は無い様で、外郭がどのような構造だったのか、やや不思議である。牛房野楯は、かなり薮が多く、隅々まで見て回るのに苦労するが、腰曲輪が多数築かれた中々規模の大きな城であることがわかる。
1本目の鋭い堀切→DSC08191.JPG
DSC08324.JPG←三重堀切側方の竪堀群

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.653392/140.439932/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0


※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。
タグ:中世山城
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佐藤 永遠

山形尾花沢市牛房野出身者です!

我故郷は遠きにありて想うもの”になっております…!

歴史を今又省み見て、幼少のころ山や川、田んぼを駈け回ったころが懐かしく思い出されます・…まだ江戸時代のような景色と懐かしく拝見いたしました。有難うございました。


by 佐藤 永遠 (2013-06-13 06:48) 

アテンザ23Z

>佐藤永遠さん
当ブログにご訪問いただきありがとうございます。
山形は、冬は雪に閉ざされて大変ですが、
自然が豊かでいいところですね。
素敵な故郷が心の中に息づいていて羨ましいです。
by アテンザ23Z (2013-06-13 21:48) 

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