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祇園城(栃木県小山市) [古城めぐり(栃木)]

DSC00865.JPG←塚田郭北側の空堀
(2006年10月訪城)
 祇園城は、下野屈指の名族小山氏の歴代の居城である。小山氏は、平将門の討伐で功を挙げた鎮守府将軍藤原秀郷の裔を誇る名家であった。小山政光は、1180年の源頼朝挙兵から頼朝に従って功を挙げ、その子朝政・宗政・朝光の兄弟は、それぞれ小山氏・長沼氏・結城氏となって名族として歴史に名を残した。祇園城は、平安末期に小山政光によって築かれたとされる。その後、鎌倉末期から南北朝期にかけて、小山氏を悲劇が襲う。即ち、7代定朝は新田義貞の鎌倉攻めの際、武蔵鶴見の戦いで討死した。その子秀朝は、足利尊氏に従って奮戦したが、中先代の乱の時、武蔵府中の戦いで一族数百人と共に討死するという大惨事となった。秀朝の子朝郷は、北畠顕家の西征戦の際に城を落とされ、南朝方に降伏したが、その後は中立的態度をとって自己の勢力拡大を狙った。室町初期の1380年には、小山氏と宇都宮氏の間で争いが起き、小山義政は裳原の戦いで宇都宮基綱を敗死させ、鎌倉公方足利氏満から追討を受けた。所謂「小山義政の乱」である。義政は鷲城などを中心に、3度にわたって叛乱を繰り返したが敗死し、その子若犬丸は一旦奥州に逃れた後、難台山城に籠もるなどして、鎌倉府への抵抗を続けたが、結局敗れて自刃し、小山氏は一旦滅亡した。その後、鎌倉公方足利氏満は関東の名族小山氏の滅亡を惜しみ、同族である結城基光の次男泰朝に小山氏を継がせた。以後、小山氏は分家である結城氏の庇護を受け、勢力の回復に努めることとなった。戦国時代に入ると、小山氏は古河公方の有力な与党となったが、古河公方家の分裂や、勢力を急速に伸ばしていた小田原北条氏と越山して関東に連年侵攻した越後上杉氏との両勢力の狭間で、小山氏は度々揺れ動いた。しかし天正年間(1573~92年)に入ると、古河公方権力を完全に接収した北条氏は、北関東への侵攻を強め、遂に1575年12月、祗園城を攻め落とし、小山秀綱は佐竹氏の元に逃れた。その後は、北条氏照に祇園城が与えられ、祇園城はこの頃に現在残る規模に拡張整備されたと考えられる。その後、佐竹氏らの反北条連合軍は祇園城奪還の為これを攻撃した。1582年、甲斐武田氏を滅ぼした織田信長は、滝川一益を関東管領として上野に入部させ、合わせて北条氏政と交渉して小山秀綱が再び祗園城に戻った。しかし間もなく本能寺で信長が横死すると、神流川合戦で敗れた一益は本領の伊勢に逃れ、関東の織田領国は北条氏の接収するところとなり、もはや北条氏の北関東経略を正面切って阻む勢力はなくなった。小山氏も北条氏に完全に服属し、1590年の小田原の役で北条方となったため、役後に改易され小山氏は滅亡した。祇園城は一旦廃城となったが、慶長年間(1596~1615年)に本多正純が祗園城に入部し、1619年に宇都宮城に転封になると、祇園城は廃城となった。

 祇園城は、思川東岸の段丘上に築かれた城である。この思川東岸地区には、北から順に祇園城・長福城・鷲城が並立し、小山氏の城砦地帯を形成している。中でも祇園城は、最も複雑な縄張りを持っているが、これは前述の通り北条氏による改修と考えられている。比高15m程の段丘上に、南から順に主郭、ニノ郭を配置し、その北にも更に塚田郭・中久保郭・北久保郭等の曲輪が連なり、更に北と東に外郭が形成されていた。東にあった南久保郭は、現在は市街化で完全に湮滅しているが、空中写真閲覧サービス(旧名、国土変遷アーカイブ)の昭和20年代の写真を見ると、外周の堀が残っているのがはっきりと確認できる。各曲輪を分断する空堀は、塚田郭~中久保郭間のもの以外はいずれも規模が大きく、深さ7~10m、幅は最大で15m程もあって、1/25,000地形図にも記載される規模のものである。この他、ニノ郭と北の外郭に、空堀で囲まれた方形の馬出しが築かれており、いずれも土橋で連結されている。祇園城は市街地の只中にあり、城址公園となって市民の憩いの場となっている割には、空堀や土塁などの遺構がよく残っており、往時の雰囲気をよく残している。
外郭馬出しの土橋→DSC00871.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/?ll=36.318047,139.799716&z=16&base=std&vs=c1j0l0u0
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tochi

明けましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願い致します
by tochi (2014-01-01 08:34) 

アテンザ23Z

>tochiさん
明けましておめでとうございます。
今年も頑張ってブログアップしていきますので、
本年もよろしくお願い致します。
by アテンザ23Z (2014-01-01 12:39) 

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