須賀山城（千葉県東庄町） [古城めぐり（千葉）]
←主郭の空堀須賀山城は、森山城の外郭として機能した城である。元は、森山城同様、鎌倉初期の1190年に、千葉常胤の6男東胤頼によって築かれたとされる。胤頼は、源頼朝の挙兵に尽力した功績により、1185年、東荘33郷・三崎荘55郷を拝領した。当初は桜井城を居城としたが、1190年に須賀山城を築いて居城を移し、更に1218年に隣接地に森山城を築いて移ったと言われている。その後も須賀山城には一族が拠ったと思われ、東頼数・教頼・常綱等の在城が伝えられていると言う。戦国後期には、小田原北条氏の支援を受けた千葉胤富によって森山城が整備拡張されると、隣接する須賀山城もその外郭として取り込まれたことが、「原文書」という同時代資料から知られている。1590年の小田原の役で、森山城と共に廃城になったと思われる。
須賀山城は、森山城の台地続きの南東端に築かれた城で、大規模な森山城と比べると比較的コンパクトにまとまった城である。東端に主郭を置き、その外周にニノ郭・三ノ郭等を配置した、梯郭式に近い縄張りとなっている。主郭は方形に近い曲輪で、現在は整備されて公園化されている。背後に土塁を築き、外周に空堀を廻らし、ニノ郭との間に土橋を架けている。主郭の東側と南側には腰曲輪も築かれている。二ノ郭は畑となった小さな曲輪で、北に位置する西曲輪（Ⅳ郭）との間を堀切で分断し、ここにも土橋が架かっている。西曲輪も畑となっており、外周に空堀が廻らされているが、一部を除いて藪がひどく、上からではほとんどその形を把握することができない。西曲輪北端には横矢掛かりの櫓台が残っている。一方、二ノ郭の南側には三ノ郭に相当する大六天曲輪がある。大六天は、相模の城を巡り歩いた人ならばわかると思うが、小田原北条氏が信仰した神で、北条氏の城郭やその近くに多く存在する。このことからも、須賀山城と森山城が北条氏の強い影響力の下に整備されたことが伺われる。大六天曲輪は土塁が残り、周囲に腰曲輪が廻らされている。須賀山城は、横矢は部分的にあるが、比較的オーソドックスな縄張りである。尚、主郭は、「須賀山城再生」ということで町ぐるみで昨年整備・開園したばかりらしく、現在は非常に見易くなっている。こうして薮に埋もれていた城と歴史が整備されるのは、地方再生に向けた最も素晴らしい取り組みだと思う。
主郭背後の土塁→
←横矢の掛かる西曲輪空堀お城評価（満点=五つ星）：☆☆☆
場所：http://maps.gsi.go.jp/?ll=35.830331,140.650696&z=16&base=std&vs=c1j0l0u0
始めまして、千葉在住の南鎌池と申します。いつも城巡りの参考にさせて頂いております。
須賀山城、整備されたのですね！
本城の森山城も合わせて整備してもらえると良いのですが。。
久しぶりに両城に行ってみたいと思います。
by 南鎌池 (2015-03-22 01:36)
>南鎌池さん
当ブログをご訪問頂きありがとうございます。多少ともお役に立てれば幸いです。
須賀山城は東庄町ですが、森山城は香取市ということで、行政区が異なるので取り組みも異なってしまうのでしょうね。いろいろと城歩きをした限りでは、香取市は全然城址整備をする気が無いようなので、森山城整備は望み薄かもしれません。
by アテンザ23Z (2015-03-22 22:47)
初めまして、千葉県東庄町在住の白樫と申します。
須賀山城のページを拝見しました。実は、須賀山城の整備をしたのは、
北総育成園という障害者施設の利用者と職員です。竹藪のジャングルになっていた城跡を1年半かけて整備しました。昨年5月に「須賀山城開山祭り」を行いました。今年も第2回が5月23日（土）に行われます。現在その準備を進めております。城跡の整備・管理は引き続き、北総育成園が
行っております。こうして、ブログに載せていただいてうれしいです。ぜひまたお越しください。
by 白樫 (2015-05-09 19:53)
>白樫さん
当ブログをご訪問頂きありがとうございます。1年半も掛けての整備とは、恐れいりました。北総育成園さんの素晴らしい活動に、只々感服します。こうした地道な活動を広く知ってもらうために、このブログが多少ともお役に立てれば幸いです。今後の継続的な整備により、須賀山城の全貌が見渡せる日を心待ちにしております。遠くから応援しております。
by アテンザ23Z (2015-05-09 22:54)