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高館城(茨城県常陸大宮市) [古城めぐり(茨城)]

IMG_6529.JPG←腰曲輪段差部に張り出した櫓台
 高館城は、佐竹氏の庶流小瀬氏の初期の居城であったと言われている。その事績は小瀬城の項に記載する。小瀬氏は後に、高館城から緒川を挟んで対岸の丘陵上の小瀬城を居城とした。

 高館城は、標高229mの高館山に築かれた城である。西麓に標柱が建ち、途中までは明確な登道があるが、途中で山上への道が消失してしまったので、緩斜面を直登した。長円形の主郭とその南に広がるニノ郭の2郭から構成され、更に主郭の西側斜面に腰曲輪、東斜面に横堀状の腰曲輪を備えている。主郭もニノ郭も内部に幾つかの小さな段差があるが、全体に削平が甘く普請が未徹底である。その点では、南北朝~室町前期頃の城の特徴が見受けられ、小瀬氏の初期の居城という伝承と符合する。一方で、腰曲輪に数ヶ所竪堀が穿たれていたり、西側腰曲輪の段差部にクランクした虎口が構築され、そこに張り出した上段の腰曲輪隅部(櫓台)から横矢が掛けられるなど、戦国期の築城法も見られることから、戦国期にも小瀬城の出城、或いは砦として機能していた可能性もある。この他、主郭手前とニノ郭手前に小堀切が穿たれ、土塁で前面を防御された坂虎口が開かれている。全体的には大きな普請がされていない城で、あまり期待していなかったが、想像していたよりも楽しめる遺構だった。

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/36.618524/140.331609/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0f0
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あおれんじゃあ

この付近には周囲は比較的しっかりしていますが、中心部がただの自然地形という城がいくつかあります。氷之沢館、国長八幡館、入四間館が同構造です。この城なんてその代表格です。
このパターンは何なのでしょうね?陣城のようにも見えるし。
まあ、分からないから面白いのでしょう。
by あおれんじゃあ (2016-06-06 21:09) 

アテンザ23Z

>あおれんじゃあさん
なるほど、共通点があって面白いですね。甲斐相模の国境に展開する烽火台群を訪城した際も、普請未徹底なものが多かったです。物見や烽火台など、とりあえず兵が常駐していればよくて、かつ、夜陰に紛れての敵の襲撃に備えるような防御施設さえあればそれでいいというような城は、戦国時代でもこの程度の普請レベルの城が多かったのかもしれませんね。
by アテンザ23Z (2016-06-06 22:06) 

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