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日置谷城(京都府綾部市) [古城めぐり(京都)]

IMG_2172.JPG←圧巻の畝状竪堀
 日置谷(へきたに)城は、歴史不詳の城である。上林川を挟んで南側には上林氏の居城であった上林城が向かい合っているが、日置谷城との関係は不明である。日置谷城はその技巧的な縄張りから織豊系の陣城と推測されており、『図解 近畿の城郭Ⅰ』では明智光秀に協力した上林氏が、織豊勢力の影響を受けながら構築した城との見解を載せている。

 日置谷城は、上林川北岸の比高100m程の山上に築かれている。東麓に上林禅寺があり、その背後から尾根筋に登り、尾根を西にたどると城に至る。大きく2つの城域に分かれ、標高220mの中間のピーク上に出城があり、西の標高240mの大きなピークが主城となっている。出城は単純な構造で、削平の甘い頂部の平場と北端の土橋の架かった堀切から成っている。
 圧巻なのが主城である。山頂に主郭を置き、西側に土塁の囲郭、南側に3段の曲輪群(ここでは上段郭・中段郭・下段郭と称する)を築いている。南の3段曲輪の東側には横堀が穿たれ、横矢掛かりのクランクを設け、上部で直角に曲がって東斜面へ竪堀となって落ちている。横堀の南端も竪堀となって落ちている。下段郭の付け根に虎口があり、おそらくこの横堀上に木橋を渡していたのだろう。横矢はこの木橋に対する防御と推測される。中段郭・下段郭はいずれも両翼を土塁で防御し、東側は前述の横堀で防御し、西側には畝状竪堀を設けている。ここの畝状竪堀は珍しい形で、一番下のものは下段郭側方の横堀を兼ね、上部でV字に分岐している。またその横の竪堀は逆U字形で初めて見る形状である。下段郭の下部中央には坂虎口、南西端には2本の竪堀で側方防御した桝形虎口が築かれている。上段郭は主郭の南面から東面に広がり、横堀沿いに土塁を設け、横堀直角部に土橋を架けている。東斜面には横堀から落ちる竪堀と連携させて計4本の畝状竪堀を穿っている。主郭はL字型の城内最大の曲輪で、全周を土塁で囲まれ、南東に隅櫓台を設け、その側方に上段郭から登る坂虎口を築いている。北尾根には2本の堀切を穿って分断している。主郭西斜面は内側に湾曲しているが、ここに合計11本もの畝状竪堀が構築されている。湾曲した斜面におびただしい数の竪堀が連なって落ちている様は壮観である。主郭の西側には西の囲郭と連携した二重桝形虎口が構築され、この虎口側方も畝状竪堀で防御している。この他にも2ヶ所の虎口っぽい窪みが主郭に見られ、複数の虎口を分散配置している様である。以上の様に、日置谷城は丹波地域の山城の中では、虎口構造に厳重な枡形を用い、横矢掛かりの横堀など相当に発達した縄張りを有しており、各地に割拠した小土豪の城とは明らかに一線を画している。小さい城ではあるが、丹波では最高峰の城の一つであろう。
主郭の隅櫓台と東虎口→IMG_2123.JPG
IMG_2185.JPG←畝状竪堀
主郭西側の二重桝形虎口→IMG_2196.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/35.366717/135.405958/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0
タグ:中世山城
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