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源氏楯(山形県鮭川村) [古城めぐり(山形)]

IMG_4324.JPG←円弧状の横堀
 源氏楯は、歴史不詳の城である。伝承では前9年の役の際に八幡太郎源義家が拠ったと伝えられるが、同様な伝承は東北各地にあり、元より当てにはならない。城の形態から推測して、「この地域に残存する城館の中では古い時代に属するもの(『日本城郭大系』)」との見解もあるが、明証はない。

 源氏楯は、標高170m、比高100m程の山上に築かれている。中央の峰が大館、南北の小ピークが小館とされる。しかし明確な遺構が残っているのは大館だけで、小館はほとんど自然地形の小平場である。大館は、中央に数段の曲輪群で構成された主郭群を置き、その南斜面から東尾根にかけて数段の帯曲輪群を配し、主郭群の南西に、円弧状横堀を介して二ノ郭を築いている。主郭群の東直下には、小堀切の先に物見台がある。またその下の帯曲輪の側方には竪堀状の城道があるようだが、薮がひどくてわかりにくい。この他、南北の小館との間の鞍部は、北側では山道が伸びているようであり、南側は堀切と鞍部の平場群が見られる。源氏楯は、比較的素朴な形態を残した山城であるが、間道を押さえる物見の城としては、十分な普請が見られる。
 尚、城へは東麓の川崎観音から登っていくのだが、下から見ると城まで登り道があるように見えるが、途中で薮に覆われ、道がわからなくなってしまう。結局南側の鞍部に取り付き、そこから南斜面の帯曲輪群に登っていくのが正解だと、降りる時にわかった。帯曲輪群はいずれも薮が繁茂して、遺構の確認がしづらい。
主郭群の段差→IMG_4376.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.826018/140.188390/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。


東北の名城を歩く 南東北編: 宮城・福島・山形

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  • 発売日: 2017/08/21
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タグ:中世山城
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