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大瓜城(宮城県大衡村) [古城めぐり(宮城)]

IMG_6248.JPG←枡形空間と空堀
(2019年11月訪城)
 大瓜城は、折口館とも言い、鎌倉時代以降この地を支配していた渋谷氏の一族、福田氏の居城である。沼舘愛三著『伊達諸城の研究』によれば、福田氏の先祖は相模の豪族渋谷庄司重国の次男武蔵権守実重と言われ、相模国渋谷荘内福田を領していた。戦国前期の天文年間(1532~55年)頃には黒川氏の家臣となっており、福田若狭広重・右近父子がこの地に居住したと言う。

 大瓜城は、比高30m程の丘陵東端部に築かれている。東の車道から林の中に腰曲輪の切岸が見えるので、そこを適当に登っていけば、もう城内である。南に向かって開いたコの字型の上部曲輪群とその間の谷部に展開する緩斜面の平場で構成された珍しい形態で、現地解説板によれば「枡形陣地」と言う形態とされる。コの字型の上部曲輪群は、外周に空堀が囲繞し、土塁や櫓台も築かれている。広い曲輪ではないが、小屋が置ける程度の幅があり、ここが主郭であったと考えられる。東と北の土塁の外側には腰曲輪群が築かれており、特に東側は麓まで何段も築かれている。また前述の空堀は、西側では横矢掛かりの折れが見られる。空堀の北東部には段差と土塁で囲まれた枡形空間があり、そこから外に向かって竪土塁で側方防御された虎口が築かれている。コの字の中央の谷部には、前述の通り南に向かって降る曲輪群があるが、よく考えるとこれは馳取城の主郭と同じ様な構造であることに気がつく。馳取城の主郭も、北に向かって開いたコの字型に土塁で囲み、その外には空堀を穿ち、主郭内部は北に向かって段々に降っているのである。
 大瓜城は、一部に薮が多いものの遺構がよく残っており、その特異な形態も含めて見どころが多い。
西側の空堀→IMG_6205.JPG
IMG_6141.JPG←コの字型の主郭に囲まれた中央曲輪

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.483779/140.825683/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f0


東北の名城を歩く 南東北編: 宮城・福島・山形

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  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: 単行本


タグ:中世平山城
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