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皆川城外郭(栃木県栃木市) [古城めぐり(栃木)]

DSCN2085.JPG←墓地裏の空堀
 あまり知られていないかもしれないが、皆川城には外郭遺構がある。『栃木県の中世城館跡』の縄張図によれば、本城の置かれている城山の東に台地となった高台が2段あり、外周に切岸・土塁の防御線が構築されている。2段の内、下段の南東部には白山台と呼ばれる高台があり、古墳時代の祭祀遺構でもあるが、ここに最初に皆川庄を与えられて入部した長沼宗員系のいわゆる第一次皆川氏の居館があったと考えられている。この外郭から更に300~400m東に離れて皆川氏の氏神である東宮神社があるが、ここも切岸・土塁で囲まれた高台となっていて、出丸となっていたらしい。

 5月下旬にコロナ下で遠出もできなかったので、これらの遺構を探索した。最初に一番東にある東宮神社からスタートした。東宮神社の境内は、比高7~8mの高台となり、南側に明確な切岸がある。また神社の北側は運動公園となって変貌しているが、東西と南の神社との境に土塁が築かれており、西側にはわずかに空堀も残っている。また城山東の2段の外郭にも、民有地の脇に土塁と切岸が残っている。旧居館跡とされる白山台は、民有地の奥にある山林なので、踏査していないが遠目にも高台になっていることがわかる。東の外郭を、上段の切岸を通過して城山に近づいていくと、城山東南東の裾野に墓地があるが、その裏に大きくクランクする空堀が穿たれている。この空堀は、本城外周の防衛線を成す空堀の一部で、空堀内側の土塁は土橋を兼ねて空堀外側に繋がっており、この土橋の両側で、南の空堀と東の墓地裏の空堀が食い違いの形となっている。墓地裏の空堀は、90度折れて南東に降った後、更に南側に折れている。空堀の外側には墓地から民家まで取り巻くように、クランクする土塁が築かれている。
 栃木県内で、これほど外郭遺構がよく残る城は他に例がなく、見逃し難い遺構群である。

出丸西側の土塁と空堀→DSCN2061.JPG
DSCN2072.JPG←外郭下段の土塁
外郭奥の白山台(奥の杉林)→DSCN2076.JPG
DSCN2077.JPG←外郭上段の切岸
墓地裏から伸びる空堀・土塁→DSCN2116.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:【東宮神社・運動公園の出丸】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.396493/139.691226/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
    【白山台】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.395284/139.687461/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
    【墓地裏の空堀】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.395974/139.684896/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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