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久寿田館(宮城県登米市) [古城めぐり(宮城)]

IMG_1775.JPG←大手虎口の出枡形
 久寿田館は、楠田三郎元重の居城と伝えられている。その他の歴史は不明である。

 久寿田館は、比高20m程の丘陵上に築かれている。南側に楠田神社が建っており、神社裏の薮の中にすぐ空堀がある。土塁と空堀で囲まれた単郭の城館で、南面以外は大土塁と空堀で囲まれており、特に北側の土塁は郭内からでも高さ3~4mもある大型のものである。また北辺のみ横矢掛かりの屈曲がある。これによって北東部が内側に折れた形になっており、もしかしたら鬼門除けの入隅を兼ねていたかもしれない。また北の空堀は外側にも土塁を築き、その外周土塁の東端付近に堀切(或いは切通し状の虎口)があり、その東に櫓台が築かれている。その東側は畑になっていて旧状はわからなくなっているが、おそらく城外だったろう。一方、主郭南側は低土塁だけで空堀はないが、中央付近に大手虎口が築かれている。この大手虎口は、土塁で出枡形を築き、出枡形の外にも蔀土塁を築いて、虎口の防御を固めている。また主郭の東部に井戸跡らしい水溜まりが見られる。久寿田館は市の指定史跡であるが事前情報が全く無く、この城の前に行った同じ市指定史跡の美濃館が不発だったので期待していなかったが、立派な遺構が残っていたのは嬉しい誤算だった。城址標柱は、前述の大手虎口の脇に朽ちて倒れていたが、辛うじて館主の名が判別できた。それにしてもこの手の小城館で、出枡形の虎口を備える例は珍しく貴重である。
主郭東辺の土塁→IMG_1737.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/38.609175/141.233540/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0
タグ:中世平山城
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