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市城砦(群馬県中之条町) [古城めぐり(群馬)]

DSCN6161.JPG←南部郭の曲輪
 市城砦は、岩井堂砦と関連した城砦と考えられている。この地は真田幸隆による岩櫃城攻略以降、武田方の吾妻勢と上杉方の白井勢との間で度々争奪の場となっている。『吾妻記』『加澤記』等には、「市城口岩井辺の要害」「市城岩井堂」「市城表」などと記述されており、はっきりと岩井堂城(岩井堂砦)とは書かれていない。しかし眺望に優れた岩井堂砦に対して、その山陰に寄り添うように築かれた市城砦は、峻険すぎてまとまった数の兵を置くことができない岩井堂砦を背後から支援する小軍勢の駐屯基地で、岩井堂砦と一体となって機能した城砦であったことが考えられるだろう。

 市城砦は、岩井堂砦のある山から深い谷を挟んですぐ北西の丘陵地に位置している。南部郭と北部郭から構成され、登り口が整備されているのは南部郭である。登り口から南部郭の広い曲輪に登ると、以前は柵や櫓が建っていたようだが、現在はなくなっていた。この平場の南側には数段の腰曲輪が築かれている。背後にそびえる細尾根は物見か烽火台と考えられ、尾根裏には小郭と堀切状の鞍部が見られる。北部郭は耕作放棄地らしく、現在は薮だらけだが、何段かの平場がある。一部に石積みが確認できるが、往時の遺構ではなく、耕地化に伴うものだろう。わずかに藪の中に堀切も確認できる。曲輪群の先端部は幅の細い物見のような平場となって、平地の上に突き出ている。以上が市城砦の概要で、小規模な軍勢の駐屯地らしい遺構である。
北部郭の曲輪→DSCN6184.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:【南部郭】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.562583/138.897475/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
    【北部郭】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.563669/138.897818/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


古写真で見る幕末の城

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  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 単行本



タグ:中世平山城
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