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駒橋御前山砦(山梨県大月市) [古城めぐり(山梨)]

DSCN6217.JPG←山頂の御前岩と富士山
(2021年2月訪城)
 駒橋御前山砦は、歴史不詳の城砦である。『甲斐国志』では、郡内地方に多い「御前山」と呼ばれる山は、いずれも烽火台跡であろうとしており、駒橋御前山砦も烽火台跡と考えられている。但し『甲斐の山城と館』では、駒橋御前山砦がかなり高所に築かれていることから、単なる桂川流域での情報伝達ではなく、桂川流域から山影になる地域へ情報伝達する必要性からこの山が選ばれたと推測している。即ち、小沢川の谷筋から朝日地区・都留地区への重要な間道があり、その道筋の村々への伝達が必要であったとの見解を示している。

 駒橋御前山砦は、標高730m、比高380mの峻険な山上に築かれている。北西の谷筋の奥の標高400m地点まで車で行くことができ、そこから国土地理院地形図にも描かれている登山道が整備されているので、迷わず登ることができる。ちなみに標高400m地点までのアクセスは、大月バイパス駒橋交差点西側のオーバーブリッジの道を登るのが良い。この道は一部未舗装路となるが、途中からまた舗装路になり、道幅もしっかりしている。一方、駒橋交差点の50m東にも登道があるが、このルートは道幅が狭くSUVやミニバンは通ることができないだろう。
 車道の奥の登り口(厄王山の鳥居がある)から高さ150m程登ると、駒橋御前山の北尾根に到達する。ここに浅い片堀切が穿たれている。そこから更に登っていくと、厄王山の祠を経由して駒橋御前山の西の尾根に至る。砦はそのすぐ目の前にある。頂部に南北に長い主郭を置き、その北に舌状の二ノ郭、また主郭の西斜面に腰曲輪と、西尾根に三ノ郭を配置した縄張りとなっている。主郭の背後には御前岩と呼ばれる岩塊があり、そこが山頂となる。御前岩からの眺望は最高で、富士山もよく見えるし、桂川流域も一望できる。自然の岩塊のままなので、そのまま物見として使われたのだろう。主郭内部には塚状の土壇と穴蔵状の窪地がある。二ノ郭は主郭と切岸で区画され、西に竪堀が落ちている。二ノ郭の北は自然の細尾根である。主郭西の腰曲輪は、中間に竪堀状の一段低い窪地があり、即ち曲輪内部を段差で区画している。三ノ郭の基部の南北には竪堀が落ちている。遺構としてはこれだけで、簡素な城砦であるが普請は明瞭である。
二ノ郭と主郭切岸→DSCN6243.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.602070/138.960282/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


山梨の古城

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タグ:中世山城
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