SSブログ

下仙人館(岩手県北上市) [古城めぐり(岩手)]

DSCN8312.JPG←主郭堀切と二ノ郭
 下仙人館は、歴史不詳の城館である。戦国末期、この下仙人地区には和賀氏家臣の仙人別当浄念坊と妙楽院と言う者が居り、1600年の「岩崎一揆」の際に和賀忠親に加勢している。館跡はこの修験山伏の居住地と推測されている。また、館跡の西には国重文の多聞院伊澤家住宅があるが、この多聞院伊澤家は仙人峠にある仙人権現社の別当を勤めており、伊澤家住宅の北にある久那斗神社は仙人権現社の里宮として1534年に建てられたと伝えられる。このことから多聞院伊澤家に関わる城館との説もある。
 尚、仙人権現社は奥州藤原氏3代秀衡が祖先の霊を久那斗権現として祀ったものと伝えられ、またこの地には「秀衡街道」と呼ばれる古道が残っている。

 下仙人館は、和賀川南岸の段丘先端部に築かれている。先端に広い主郭を置き、土橋の架かった堀切を挟んで西に二ノ郭、更に堀切を挟んで外郭がある。主郭は現在公園となってる。主郭西の堀切は北側で北東に折れ、北斜面を降っている。また主郭の北東と南東には小さな尾根が突き出ており、小堀切と堡塁が築かれている。二ノ郭は狭い曲輪で、西の堀切は北側で屈曲している。二ノ郭の西半分と外郭は、訪城時には発掘調査中であった。外郭北側に横堀状地形と腰曲輪状の平場があるが、前年度(令和3年度)の発掘調査の結果によれば、1970年代の数年間に人が居住していたこともあって平場全体が現代に削られていたことがわかったとのことで、実際に遺構だったのかどうかわからないらしい。今回の令和4年度の発掘調査結果も遠からず纏められると思うので、報告書刊行後に再確認してみたい。いずれにしても、大きな城館ではないが主郭・二ノ郭はよく遺構を残している。
主郭北東の堀切と堡塁→DSCN8319.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/39.302831/140.947573/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


奥州藤原氏―平泉の栄華百年 (中公新書)

奥州藤原氏―平泉の栄華百年 (中公新書)

  • 作者: 高橋 崇
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2002/01/01
  • メディア: 新書


タグ:中世崖端城
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント