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石堂山楯(山形県鶴岡市) [古城めぐり(山形)]

DSC03945.JPG←堀でウネウネの主郭
 石堂山楯は、湯田川館群の一つである。湯田川館群とは、湯田川温泉周辺に存在する城館群で、現在の国道345号線が古来より庄内~越後を結ぶ街道で、館群はこの幹線が庄内平野に出る口を押さえる要衝に位置している。石堂山楯は、その歴史は不明であるが、館群の中では最高所に位置し、藤沢楯と湯田川集落を挟んで相対しており、館群の詰城的城砦として機能したと考えられる。

 石堂山楯は、標高150m、比高120m程の石堂山山頂一帯に築かれている。藤沢楯と並んで極めて特異な縄張りを持った城で、36本の畝状空堀が、主郭や細尾根状のニノ郭などの曲輪平坦部のほぼ全面を埋め尽くす様に櫛歯状に穿たれており、「全国でも類例のない特異遺構」(山形県中世城館遺跡調査報告書の表現)とされている。そのため曲輪内は、藪で確認しづらい部分もあるが一面ウネウネである。その意図は全く不明で、近世の破却の跡とか、後世の何らかの生産に関わる遺構ではないか、などいくつかの説が提示されているが、これらの堀によって城兵の居住性はほとんど失われており、現地で実際にその遺構を見ると余計に謎が深まる。この他の遺構としては、城域両端に堀切が穿たれている。まずニノ郭の北側下方の堀切は急峻な斜面の下に穿たれ、その手前には櫓台と段曲輪が築かれている。主郭西の堀切は、幅の広い堀で、藤沢楯のものと同様、側方を二重竪堀化し、中央の土塁を削り残した形で落としている。この堀切に沿って、外側には土塁が築かれ、鎮台楯に続く尾根道を遮断している。以上が遺構の概要である。尚、私は地形図を見て由豆佐売神社背後の尾根筋から登ったが、石堂山楯東側の斜面は斜度50度もある様な急峻な斜面で大変な目に合った。今後訪城する方は、北東の尾根から登った方が良いだろう。
堀切側方の二重竪堀→DSC03911.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.694708/139.761379/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。
タグ:中世山城
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