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宮前館(埼玉県川越市) [古城めぐり(埼玉)]

DSCN2287.JPG←北辺の空堀
 宮前館は、下広谷方形囲郭群の一つで、『日本城郭大系』では「某館(2)」、書籍によっては「字宮前の遺構」などとも呼ばれる。歴史不詳の城館であるが、近年の研究では下広谷の囲郭群は、山内・扇谷両上杉氏が争った長享の乱の中で、1497年、扇谷上杉朝良の本拠河越城を攻撃するために山内上杉顕定が本陣を置いた上戸陣(旧河越氏館)に関連して、陣所または兵站拠点として構築されたものと考えられている。その後、戦国期に小田原北条氏の前進拠点となった河越城を、関東管領上杉憲政・扇谷上杉朝定・古河公方足利晴氏の連合軍が長期攻囲した河越城の戦いでも、これらの囲郭群は再利用されたと思われる。

 宮前館は、下広谷方形囲郭群の中心的城郭・大堀山城の東に隣接するように築かれている。下広谷方形囲郭群の中では大堀山城に次ぐ規模の空堀・土塁が残っている。北辺から西辺にかけてL字型をした土塁・空堀がある。その内側に当たる南東の山林内にも、かなり浅いが空堀が見られる。この堀は、鉤型が東西に2つ連結したような形をしている。『日本城郭大系』の縄張図とは遺構配置が合わないが、どうも二重の環郭式平城であったような形態である。しかし東側は開墾されてしまっていて、そこから先の堀は消失してしまっているので、遺構の全貌はわからない。また南は民家裏の屋敷林なので、改変されている可能性がある。全体の縄張りがわかるように遺構が残っていればと惜しまれる。
西辺の土塁→DSCN2308.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.957401/139.436674/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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タグ:陣城
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