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桐原城(長野県松本市) [古城めぐり(長野)]

11607306.jpg←主郭土塁上の石積み、手前は横堀
(2007年5月訪城)
 桐原城は、犬甘氏の庶流桐原氏が信濃守護小笠原氏の本拠林城の支城として築いた。場所は薄川という川の流れる平野部を挟んで林城の対岸に位置し、林城防衛網の一角を占めていたと思われる。しかし、甲斐武田氏の信濃攻略が着々と進む中、あっけなく落城したようである。
 城へは桐原集落から登っていくが、登り口がわかりづらく迷ってしまった。丁度地元の農家の方が通ったので訊くと、すぐに教えていただけた。どうも地場では知られた城らしい。登り口には解説板があり、よく見ると所有者が桐原さんということで、桐原氏の後裔だと思われる。さて、ここから登っていくと道がかなりはっきりしており、比較的楽に10分ほどで城の入り口に到達する。そこまで行く間にも山上から下ってきた大規模な竪堀を数条確認することができた。また途中の道には、明らかに人の手の加わった石がいくつも転がっていた。まもなく虎口と思われる土塁が見えてくるが、この土塁には石がごろごろと転がっていて、おそらくは石垣で防御されていたものと思われる。虎口を入って何段かの段曲輪を過ぎると、大きな横堀が数本見れる。横堀はそのまま斜面を駆け落ちる竪堀となっている。更に登っていくと主郭に近づくにつれて、見事な牛蒡積みの石積みが見えてくる。この道をそのまま登っていくと、主郭の背後に行ってしまうが、そこは横堀、竪堀のオンパレードである。特に竪堀はどれも規模が大きく、長さも斜面をずっと下って行っているので数十mは間違いなくあろう。以前に皆川氏が築いた布袋ヶ岡城で長大な竪堀に驚いたが、それ以上である。構成も複雑で、1本の竪堀が分岐して二重竪堀に変化したり、畝状竪堀があったりとバリエーションに富んでいる。主郭から数段の曲輪はすべて周囲を石積みで防御していて見ごたえがある。それもあちこちに何段もあって、見て周っていて飽きることが無い。ただこれらの石積みは、どれも残っているのは1mに満たないほどの高さで、土塁の最上部だけ補強しているものが多く、実戦上どれほどの防御力を発揮したのかは疑問に思うところも多い。しかし見事なのは確かである。曲輪は全体に小ぶりで、居住性があり多くの兵を駐屯させるような城ではないが、殺る気満々の縄張りである。
 登ったのは5月のことだったが、信州ではまだ草木が視界を妨げるほど繁茂しておらず、またこの桐原城のある山などは、薮が少なくて見通しも効き歩きやすい。おそらく遺構を壊さない程度の人の手が入っていて、山の手入れがきちんとされているのであろう。さすがは信州、山国の本場である。栃木あたりの荒れた山とはえらい違いだ。
 正直、「すっげ~~~!」の一言。ネットで事前に調べた限りではかなり大規模な山城のようなので期待して登ったが、予想以上のすごい城だった。
見事な石積み→11607310.jpg
11607308.jpg←同じく2段の石積み
二重竪堀→11607307.jpg
11607304.jpg←堀切

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆☆(文句なしの満点!)
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.236787/138.026752/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
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