SSブログ

水番城(長野県松本市) [古城めぐり(長野)]

DSC08207.JPG←主郭背後の石積み
 水番城は、信濃守護小笠原氏の居城林城の東にあり、林城の水源を守るために築かれた城である。林城へは、延々1.5kmに渡って山の斜面に水樋を横断させて水を供給していたという。城からだいぶ離れた水の手を守るため、わざわざ城を築いたようである。
 水番城は麓からの比高140m程で、林城(大城)とほぼ同じ高さにある。わりとこじんまりした城だが、非常に独特の縄張りを持っていて面白い。登り始めてしばらくすると、秋葉社の祀られた平場に出るが、ここは物見であったと思われる。秋葉社に登っていく道はちょうど竪堀状になっているのだが、これは往時からのものかどうかはわからない。そこから尾根に沿って緩やかな斜面が続き、小さな堀切を越えて登ると、L字状の広い曲輪に出る。曲輪とは書いたが、削平がやや甘く、土塁などの防御構造も見られないので、本当に曲輪だったのかは疑問点も残る。そこから2つの小さな堀切を越えるともう城の中枢部で、前面に2段の段曲輪を配した主郭に到達する。主郭はほぼ楕円形をした小さな平場で土塁などもなく、あまり防御性を感じさせない。この主郭の周囲には石がゴロゴロしているほか、主郭裏側には低い石積みが残っているので、往時は主郭全周を石積みが囲んでいたのではないかと想像される。(わざわざ石垣でなく「石積み」と書いたのは、あまり高く積まれていた形跡がないからである。)面白いのはここからで、主郭裏には5mほどの高低差を持って縦に細長い曲輪が続いているが、この曲輪の両側にたくさんの竪堀が連続して掘られているのである。合計10本以上はあるだろうか。おかげでこの曲輪の両側はジャバラのようにうねっている。その先にはこれまた小さいながら堀切で尾根筋を防御している。
 堀切や竪堀はいずれも小さいもので、全体に防御性はそれほど高そうには見えないので、あくまで水の手を守る見張り砦的な構想で作られた城なのではないかと想像される。
畝状竪堀で防御された曲輪→DSC08204.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.223055/138.019722/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 2

ノリパ

1.5キロとはすごい。逆に、この水の手を中心にお城を造る手は
なかったんですかね。いやいや、なかったんでしょうね。
by ノリパ (2009-02-12 18:41) 

アテンザ23Z

当初よりも城の規模が徐々に大きくなり、
在城する人口も増えたため水が足りなくなって、
遠くから水を引っ張ってきた、とか。
私は勝手にそんな想像をしています。
by アテンザ23Z (2009-02-12 20:11) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0