伊東氏館（静岡県伊東市）

←館跡とされる物見塚公園
　伊東氏館は、伊豆の豪族伊東氏の居館である。伊東氏は、平安時代末期に藤原南家工藤氏がこの地に入部して伊東氏を称したとされ、伊藤家次が初代とされる。家次の2代後の伊東祐親は、伊豆に配流となった源頼朝の監視役を平家から任されたが、大番役で在京中に娘の八重姫が頼朝と恋仲となって子を生んだ為、激怒してその子を松川に沈めて殺した。1180年に頼朝が挙兵すると、祐親は大庭景親と共に頼朝を討伐し、石橋山合戦でこれを破った。その後、安房に逃れた頼朝が再起して関東諸豪を味方に付けて鎌倉に入ると、祐親は逃れて平家の軍に合流したが、富士川の合戦で捕われた。女婿の三浦義澄の助命嘆願で一命を許されたが、祐親は潔しとせず、1182年に自刃して果てた。その後も伊東氏はこの地の地頭となって、その命脈は戦国時代末期まで続き、日向伊東氏などの諸族を輩出した。

　伊東氏館は、幾つかの伝承地があるが、一般には市役所西隣の物見塚公園が館跡とされている。伊東市街地を一望できる比高35mの段丘上に位置するが、市街化・公園化で明確な遺構はなく、石碑と伊東祐親の銅像があるだけである。ただ、市役所の北側の崖には腰曲輪の様な狭い平場があるが、遺構かどうか不明である。尚、北麓の仏光寺は、鎌倉時代の地頭伊東氏の居館、玖須美館とされる。又、物見塚公園の300m南方には伊東祐親の墓が残っており、大切に保存されている。

　お城評価（満点=五つ星）：☆
　場所：http://maps.gsi.go.jp/#16/34.965276/139.100915/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1

タグ：居館