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小倉楯(山形県新庄市) [古城めぐり(山形)]

DSC07313.JPG←二重堀切
 小倉楯は、歴史不詳の山城である。楯主は小倉丹波守と言われ、南南西1.7kmの位置にある片平楯主と同一人物ではないかと推測されている様だ。
 小倉楯は、土内川南岸の丘陵地帯の一角を占める標高334.2m、比高104mの小倉山に築かれている。緩斜面を利用して築かれた城で、中間の二重堀切で北郭群と南郭群に大きく分けられる。南郭の南の尾根筋には、3~4m程の深さの中規模の堀切が2条穿たれて、前面の防御を成し、堀切の内側には2段の段曲輪があって、枡形虎口を介して南郭中枢部に到達する。この枡形虎口付近には畝状竪堀があるらしいが、草木が多く形状が明瞭ではない。南郭中心郭の背後には搦手虎口を降って腰曲輪が1段あり、その先に前述の二重堀切がある。この二重堀切は、中間に土塁を築いた堀形状で、あまり鋭さは感じられない。その先の北郭は、広やかな緩斜面に数段の曲輪群が築かれ、最上部に北郭の中心郭が配置されている。中心郭の西尾根と東尾根には、それぞれ2条ずつの堀切と曲輪群が連ねられている。北郭群の周囲には、畝状竪堀が多数配置され、この城の防御構造の特徴となっている。北郭中心郭の周囲を巡らした横堀から竪堀を何本も落とすタイプで、全体に規模は小さいが形状が明瞭である。特に東側では、腰曲輪横の横堀が直角に曲がって竪堀となっている。山形県の山城の畝状竪堀は、主に最上地方に集中している様で、最上氏の最新式の築城法であったものであろうか?いずれにしても小倉楯は、畝状竪堀を多用したハイテク山城だった様だ。
畝状竪堀の一部→DSC07346.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/38.827339/140.374535/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0


※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。
タグ:中世山城
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