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愛宕山城(静岡県静岡市葵区) [古城めぐり(静岡)]

DSC00835.JPG←美しい北尾根の堀切
 愛宕山城は、歴史不詳の山城である。この地は、駿河の戦国大名今川氏の重臣朝比奈氏相伝の所領で、1439年には今川義忠の有力家臣朝比奈妙光が地頭で、今川氏滅亡まで同氏系が続いていることから、朝比奈氏の城であったとも言われるが、確かなことは不明である。いずれにしても、今川氏が府中館防衛の為に築いた城砦群の一つであろう。

 愛宕山城は、駿府城の北東2.5km、標高90mの愛宕山上に築かれている。『日本城郭大系』に「静岡市内における城址のうち、特に遺構を現在まで完全に残す点で丸子城に次ぐ」と記されている通り、遺構が良好に残っている。一部、公園化で遺構が破壊された部分もあるようだが、あくまで部分的な破壊にとどまっているらしく、縄張りをほぼそのまま残している。山頂に広いニノ郭を置き、その中央やや東寄りに一段高く主郭を設けている。主郭には愛宕神社が鎮座している。ニノ郭周囲に派生する各方向の尾根に段曲輪群を連ね、要所に堀切を穿って防御している。堀切は小規模なものが多いが、中でも大きなものは北西尾根に見られる堀切とその下方の北尾根の堀切で、見事な形を残している。この他、腰曲輪に櫓台らしき土壇を設けるなど、防御を厳重にしている。静岡古城研究会発行の『静岡県の城跡』では、城域の北半と南半で、「北半のみ重層的な導入系構造と大規模な堀切による遮断系構造が強化されている」ことから、南半が古い今川系の縄張りを残す一方、北半は1569年以降に武田氏か徳川氏によって改修された可能性を指摘している。個人的には、割りとシンプルな縄張りであることから、基本的には今川時代の縄張りをそのまま引き継いでいるのではないかと思う。街中にあるとは思えないほど、見所の多い遺構である。数少ない今川氏築城の遺構を伝える点でも貴重である。
ニノ郭、左側が主郭→DSC00779.JPG
DSC00816.JPG←段曲輪
 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/34.990936/138.408104/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0
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