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唐鳥屋城(長野県筑北村) [古城めぐり(長野)]

DSCN5084.JPG←主郭周囲の石積み
 唐鳥屋城は、会田氏の居城虚空蔵山城砦群の一つである。詳細不明であるが、寛正年間(1460~66年)に海野氏の一族藤沢帯刀が築いたと伝えられる。天正年間(1573~92年)に小笠原貞慶に攻め滅ぼされたと言う。一説には青柳氏の支城ともされるが、虚空蔵山城の眼前の指呼の間にあり、会田氏と同族の藤沢氏が守っていることから、会田氏の虚空蔵山城砦群の一つと考えるべきであろう。

 唐鳥屋城は、立峠の東方にある標高1079mの山上に築かれている。立峠を通る古道はかつての善光寺街道で、この峠道を監視しつつ、虚空蔵山城北方の防衛を担っていたことが推測される。この城への登り口は2つあり、花河原峠から登る南東尾根ルートと、古道を立峠まで登り、そこから西尾根を登る西尾根ルートである。手っ取り早いのは南東尾根ルートで、登り口には入口の標柱がある。小ピークと鞍部の平場を越えて山頂へ登っていくが、山頂近くでは明確な道が消失し、最後のところでほとんど斜面直登になる。これを登り切ると主郭に至るが、その前に眼前に石積みが現れる。これが主郭切岸の石積みで、東から南にかけて残っている。主郭は2段の平場で構成されているが、規模は小さく、いかにも物見の砦という趣である。主郭の北尾根と北西尾根には曲輪群が連なっている。北尾根の曲輪群は、自然地形に若干手を加えた程度で、堀切もあるにはあるがあまり大きな普請はされていない。しかし北西尾根の曲輪群は、曲輪の規模が比較的大きく、西側に段曲輪群を貫く登道もある。また最下段の曲輪の周囲のみ石積みも見られるほか、竪堀もあり、この方面の防御を重視していたことがうかがえる。一方、立峠に至る西尾根は、小ピークを挟みながら散発的に小堀切が穿たれ、立峠手前の1050m峰の西の堀切では、北に竪堀が長く伸びている。1050m峰の西に鉄塔が立っているが、この鉄塔付近も曲輪跡かもしれない。遺構としては以上で、大きな城ではないが立峠を押さえる要害として重視されていたことがわかる。
北西尾根の段曲輪群→DSCN5166.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.371772/138.006724/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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タグ:中世山城
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