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雨乞山城(栃木県宇都宮市) [古城めぐり(栃木)]

DSCN1477.JPG←主郭後部の腰曲輪
 雨乞山城は、近年発見された城である。位置的には田中城の背後に当たるので田中城の詰城の可能性があるが、宇都宮氏の一家臣である田中氏が果たして詰城を築く必要性があったのか、疑問がある。また戦国末期に宇都宮氏の新たな本拠となった多気山城の支城との見解もあるが、それにしては多気山城と直接連絡することは間に山があって難しく、また敵対していた壬生氏の勢力圏である北西方面からの侵攻に対するよりも南東の宇都宮氏本領を眼下に収める位置に築かれており、多気山城の支城とするのも疑問がある。

 雨乞山城は、標高330mの山稜上に築かれている。南麓の墓地脇に登り口があり、そこからわずかな踏み跡を辿っていくことになる。登道はところどころ踏み跡がおぼつかなくなるが、とにかく上へ向かって進んでいけばまた踏み跡が現れ、やがて城域に至る。基本的には典型的な細尾根城郭で、南北300m以上もある長い山城である。最も高所にあり、城内で一番広い曲輪が主郭で、後部に腰曲輪、前面に両側に土塁を築いた虎口郭を置いている。城域は、この主郭から南の部分と、主郭背後の堀切から北の部分と、大きく2つに分かれている。主郭背後は高低差が大きく、急な切岸で遮断され、暗部に堀切が穿たれている。主郭の虎口郭の前面に堀切があり、そこから南には尾根上に細長い曲輪群が連なっている。途中に2本の堀切が穿たれ、竪堀も見られる。また主郭から北には、やや幅広の曲輪が尾根に沿って連なり、主郭に次ぐ広さの二ノ郭をピークとして曲輪群が更に北に連なっている。これら北の曲輪群でも、4本の堀切が穿たれている。以上が雨乞山城の遺構である。主郭から南は薮が少なく遺構が見やすいが、主郭から北は薮が多く、遺構の確認がし辛い。
 それにしても、宇都宮にも堀切と曲輪群で構成された純然たる細尾根山城があるとは!貴重な遺構である。
南の堀切の一つ→DSCN1450.JPG
DSCN1489.JPG←主郭背後の堀切

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.632258/139.809759/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


ワイド&パノラマ 鳥瞰・復元イラスト 日本の城

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タグ:中世山城
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