丸山城（神奈川県伊勢原市） [古城めぐり（神奈川）]
←主郭周囲の土塁丸山城は、扇谷上杉氏が築いたと推測される平山城である。以前は糟谷左衛門尉有季居跡とも糟屋城とも呼ばれ、武蔵七党の一、横山党の一族糟屋氏の居館があったと伝承されていた。有季は、鎌倉時代初期に源頼朝・頼家に仕えてしばしば軍功を挙げたが、比企能員の聟であったため、比企の乱で比企一族が北条一族に滅ぼされた際に、比企氏と共に自害したと言う。
しかし現在残る丸山城は、発掘調査の結果、15～16世紀頃の城郭と考えられており、ちょうど扇谷上杉氏とその家宰太田道真・道灌父子が活躍した頃から、伊勢宗瑞（北条早雲）が伊豆から相模に進出して、上杉氏らの勢力を駆逐した頃に当たる。丸山城から西方約3kmの位置に扇谷上杉氏の本拠糟屋館があり、糟屋館の東方を防衛する出城として築かれたのではないかと個人的に推測している。
丸山城は、低湿地帯に突き出した半島状の台地先端に築かれていた。現在は主郭南側の城域を国道246号線が東西に貫通し破壊を受けているが、近年城址公園として整備された。かなり改変を受けているものの、公園内の主郭周囲には土塁が良好に残り、西側には横矢も明瞭に掛かっている。主郭周囲の下方には堀がぐるりとめぐらされていた様だが、現在は保存のためか堀は埋まっており、まるで腰曲輪の様になっている。城域は、南の高部屋神社付近まで広がっていたと推測されている。発掘調査時には、鎌倉時代のものと室町時代後半の2期の遺物が出土しており、糟屋氏の居館の跡地に扇谷上杉氏が城を築いたと考えるのが自然であろう。城の近くには糟屋館で謀殺された太田道灌の首塚や、道灌の菩提寺である大慈寺があり、丸山城と道灌との関連を窺わせる。城跡のすぐ近くまで住宅地が迫ってきており、壊滅一歩手前で遺構が残った貴重な文化遺産である。
L字状にくびれた横矢部→
お城評価（満点=五つ星）：☆☆☆
場所：http://maps.gsi.go.jp/#16/35.407486/139.319590/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f0
この城跡の近くに住んでいるジモティです。
東京オリンピックの際に２４６号線が貫通して城跡が破壊され、
２０００年頃からの住宅開発でさらに破壊され、と言う有様です。
子供の頃は空堀の後がはっきりと残っていたのですが・・・。
今となっては、城跡としての価値があるかどうか・・・。
父やそれ前の世代はつながっている風景を知っているはずです。
ちなみに私見ですが、この城は鎌倉期に糟屋氏が開き、
糟屋有季が比企能員の変で討ち死にした後は、
おそらく要所として要害化しつつ、ある程度は機能していたと思います。
その後、扇ヶ谷上杉家が糟屋を拠点とした際に再利用された
と言うあたりではないかと。
実際、道灌公菩提寺の大慈寺が道灌公の叔父・周厳禅師により
鎌倉からこの糟屋城近くに移されたあたりもそれに関係している
と思っています。
また、一説では「糟屋館」がこの「糟屋城」ではないか、
と言うものまであります。
（私見では糟屋館の後詰め、もしくは前線の城として
糟屋城があったのではないかと）
また城内にある高部屋神社も糟屋氏が今の地に移されたものと伝わる。
（もともとは高部屋神社は現地ではなく、別地（渋田山の方？）に
あったと伝承があります（よく、弥杉の方にあったといわれます）。）
その後も伊勢新九郎（北条早雲）が上杉家を倒した後あたりまでは
利用されていたと思います。
（※その後の利用はわかりませんが・・・）
ちなみに最近の風景はこんな惨事になっています。
こちらの方のブログサイトに写真が載っていました。
http://ameblo.jp/sleeper-free/entry-11331296887.html
by ジモトン (2012-08-20 00:04)
>ジモトンさん
ご訪問&コメントありがとうございます。
以前は空堀がはっきり確認できたほど、
良好な遺構だったんですね。
高度成長期に破壊されたのが恨めしいです。
でも、城址公園として整備されたので、
これで一安心！と思っていましたが、
またしても破壊行為が繰り返されているとは！
伊勢原市は一体何を考えてるんでしょうか？
貴重な情報をありがとうございました。
by アテンザ23Z (2012-08-20 19:11)