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夷隅金山城(千葉県いすみ市) [古城めぐり(千葉)]

IMG_1274.JPG←主郭腰曲輪の仕切り土塁
 夷隅金山城は、歴史不詳の城である。周辺は城郭密度が高い地域で、夷隅金山城の北方500mの位置には城谷城が配置されていることから、万喜城の上総土岐氏と安房里見氏の境目の最前線の城で、里見氏方の城であったと推測されている。

 夷隅金山城は、標高95m、比高80mの山上に築かれた城である。この地域では城谷城と並ぶ規模の大きな城で、縄張りもかなり技巧的である。山頂にまとまった広さのある主郭があり、低土塁と2ヶ所の内枡形の虎口が築かれ、外周には腰曲輪が廻らされている。この主郭腰曲輪には、仕切り土塁が数ヶ所設けられているが、こうした構造は全国的に見ても類例が少ない、特異なものである。倉などの周囲に設けられた土塁であろうか?主郭の南尾根と南東尾根には堀切の先に櫓台や腰曲輪が築かれている。この内、南東尾根の櫓台には石積みが見られる。主郭の北東には堀切を挟んでニノ郭が築かれているが、主郭~ニノ郭間の動線は厳重を極める。ニノ郭側方の腰曲輪から切通し状の枡形を直角に曲がってくぐり抜け、堀切に架った土橋を渡って、主郭腰曲輪に築かれた櫓門に入るという構造である。これも中世城郭としては類例の少ない技巧的構造で、ほとんど近世城郭の様な虎口の完成形である。ニノ郭から北東の尾根には段曲輪群が築かれ、その側方に2本の竪堀状の城道が伸びている。2本の内、西側の城道は最下方で横堀状に変化している。この他、北側にも谷戸を大きく囲む様に外郭の腰曲輪群が連なり、その先端に神社の祀られた櫓台が置かれている。更に天然の堀切となっている窪地を挟んで、北東に最高所に櫓台を置いた曲輪群が設けられている。以上の様に夷隅金山城は、薮でわかりにくい部分もあるが、複雑な遺構をよく残した、県内屈指の城である。但し、上総・安房方面の城としては、非常に特異な遺構で、里見氏系城郭とは大きく様相を異にする。里見氏の城であったのではないかとの説には、まだ考究の余地が多い様だ。
ニノ郭~主郭間の厳重な虎口→IMG_1358.JPG
IMG_1335.JPG←南東尾根の堀切と櫓台
 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.245993/140.338574/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1
タグ:中世山城
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イラブ

こんにちは、旧大原町ですね、この城は面白いですね~ あの土塁も?ですよね移動障害物なのか?一昨年 志茂手楯を訪れた際にチョッとこれと似ているかな~と思いました。
お城って本当に面白いですね!
by イラブ (2014-07-11 18:51) 

アテンザ23Z

>イラブさん
この城は、謎が多いですね。仕切り土塁は、どちらかと言えば田間城が似ているように思いましたが、支尾根を利用したものとの違いがあるので、類似性は薄いのでしょうね。
志茂手楯に行かれたんですね?あそこは大空堀が素晴らしいですね。
by アテンザ23Z (2014-07-11 21:59) 

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