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御舘館(石川県宝達志水町) [古城めぐり(石川)]

IMG_5681.JPG←外郭南東部の横矢の張出し
 御舘館は、歴史不詳の城館である。岡部六弥太忠澄の後裔を称する、口能登の岡部氏一族の居館との伝承もあるが、確証はない。発掘調査の結果では、御舘館の存続年代は、南北朝時代から室町時代及び戦国時代であり、14世紀後半~15世紀前半と16世紀後半の二時期に盛期を持つと推測されている。

 御舘館は、杓田川北岸の比高10m程の段丘の南の縁に面して築かれた城館である。基本的には方形館で、コの字型の二重の堀で囲まれた梯郭式の縄張りとなっている。内郭は土塁がなく、堀だけで囲まれているが、南西角のみ櫓台が築かれている。また外郭は帯曲輪状でコの字状に廻らされ、東側では広幅の曲輪となり幅のある土塁を築いて防御している。しかも南東部だけ横矢の張出しを設け、更にその南端部は堀が台地の縁に沿って内側に入り込んでいる。東側に向かって防御を固めているが、これは館の東側に加賀・能登を結ぶ街道が通っていたからだと思われる。この他、現在は遺構がないが、発掘調査の結果では東と北にも更に曲輪があったらしい。御舘集落に隣接した山林の中に、奇跡的に明確な遺構が残る謎の城館である。

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.802378/136.767683/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


中世城郭の縄張と空間: 土の城が語るもの (城を極める)

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  • 作者: 松岡 進
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: 単行本


タグ:中世崖端城
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史学会帰り新参

加賀の城だと思っていましたが、能登の城でしたね。集落にある城だが奇跡的に遺構がよく残っていうと聞きました。建造物や設置物等の人工物は写真に写っていないですね。集落に近い分もう少しゴチャゴチャしていると思っていました。土塁は良好に残っていますね。
 マークしている城跡ですが、日本国中に行きたい城が多くて、何時行ける事になるのかです(^_^;)
by 史学会帰り新参 (2019-11-10 21:37) 

アテンザ23Z

>史学会帰り新参さん
一部、畑になったりしていますが、ほとんどは無傷の様です。ただ整備は部分的にしかされておらず、特に主郭の西側は薮だらけでした。

「日本国中に行きたい城が多くて・・・」は、私も同じ悩みを抱えています。同じ城ももう一回行き直したいとか思ってはいても、行ってない城の方が優先度が高いので、結局行けずじまいがほとんどです・・・。
by アテンザ23Z (2019-11-12 20:09) 

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