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二桜城西砦〔仮称〕(岩手県一関市) [古城めぐり(岩手)]

DSCN5281.JPG←竪堀
 二桜城西砦は、地形図でたまたま見つけた城館候補遺構である。城館候補遺構とは、「断定はできないが、城館の可能性を残しているもの」のことで、北陸地域の中世城郭を調査している佐伯哲也氏が提唱している呼称である。ここでは佐伯氏の提唱に倣うことにする。

 二桜城西砦があるのは、二桜城の南西に突き出た支尾根の南斜面で、現在は一面にソーラーパネルが設置されている。傾斜量図を見ると、ここに堀っぽいもので囲まれた台形をした地形が確認できる。このすぐ西の尾根上には市の有形文化財「貞治3年金剛界大日種子石塔婆」があり、これは二桜城主清水氏が建てた供養碑である。元々この石塔婆の場所を地図上で探していて、この西砦を見つけたのである。この石塔婆には一応覆屋があるが、倒れかけている。また岩手県の文化財地図では「葛西塚」と記載されている。この石塔婆の存在からもわかるように、この尾根は古来より二桜城と密接に関連する場所であり、西砦は寺院等の結界か隠居城であったかもしれない。しかし斜面にあるので、まとまった広さの平場はない。ソーラーパネルでよく見えないが、堀で囲まれた中に段々に曲輪群が造成されていたものと推測される。東西には竪堀が明瞭に残り、曲輪群の最上段は土塁となっていて、背後を切岸で落としている。埋もれてわかりにくいが、切岸下には空堀もあったように見受けられる。ここでは城館遺構の可能性を指摘するだけにとどめたい。
 尚、石塔婆へはソーラーパネルの東の山林の斜面を登って行った。尾根上には道があったので、どこかから山道が通じているらしいが未確認である。
土塁背後の切岸→DSCN5285.JPG
DSCN5275.JPG←尾根上にある石塔婆

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.847019/141.155927/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


城館調査の手引き

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