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大道城(富山県富山市) [古城めぐり(富山)]

DSCN9628.JPG←南1郭の大井戸、奥は主郭虎口
 大道城は、若狭城とも言い、射水・婦負郡守護代であった神保氏の支城群の最奥の城である。神保氏は、山田川沿いに鶴ヶ城富崎城下瀬城高山城・大道城を数珠繋ぎに築いているが、大道城はその最奥・最高所に位置し、最後に拠る詰城であったと考えられる。越後の上杉謙信が越中に侵攻した際、神保氏の重臣寺嶋牛之助・小嶋甚助兄弟が立て籠もったと伝えられる。また1581年、織田信長の部将佐々成政の攻撃を受けた寺嶋・小嶋両名は富崎城を拠点に織田勢に抵抗したが、5月に織田軍の攻撃を受けて富崎城は落城し、寺嶋・小嶋両名は大道城に逃れて抵抗を続けたが、後に和を結んで佐々成政に属したと言う。

 大道城は、標高639.1mの山上に築かれている。かなり山の奥深くにあるが、なんでこんなところに城を築いたかといえば、「殿様道」と呼ばれる古道が通っていたらしい。越中には飛騨に繋がる山岳古道がいくつもあり、これもその一つだったのだろう。即ち古道を押さえる要害でもあったと考えられる。この城へ行くには、標高493.7mの三角点がある峰の西中腹にある、車道から分岐する林道を登っていく必要がある。オフロード車ならば登っていけるかもしれないが、普通乗用車はこの分岐で車を降り、歩いていく方が良い。城の南東にある入口まで、歩いて50分も掛かる遠い道のりである。市の史跡に指定されているので、この入口から城内まで散策路が整備されている。山奥の城であるが普請の規模はかなり大きい。堀切で分断された南北4つの曲輪で構成されており、ここでは便宜上、北から順に北郭・主郭・南1郭・南2郭としておく。散策路を登っていくと最初に現れるのが南2郭を防御する横掘である。南2郭は南に突き出たT字型をした曲輪で、外周に横掘を廻らし、西端部に搦手虎口を築いている。この虎口は入ってすぐ正面に土塁があり、導線を屈曲させた枡形虎口となっている。南2郭の北には南1郭の切岸があるが、切岸の下は堀状の通路となっている。この西端は竪堀が穿たれていることから、一応堀切としての機能を有していたようである。中央より東寄りに虎口がある。南1郭は郭内が傾斜しており、主郭の虎口の前には大井戸の穴があり、まるで落とし穴である。この大井戸の障壁を迂回する枡形の通路で、堀切に架かる土橋へ至る。主郭南側は堀切で画されている。主郭の搦手虎口は内枡形を形成している。主郭の北側には大手虎口があり、その右手には土塁がそびえ、櫓台となっている。主郭北側も堀切で画され、虎口前に土橋が架かっている。その先が北郭で、郭内は傾斜しており、北辺と東辺に土塁を築いている。西端近くに大手虎口があり、前面の堀切に土橋が架かっている。土橋の先には大井戸の穴があいており、南1郭のものと同じく導線を制約する役目を果たしている。この他、北郭と主郭の東側には横掘が穿たれ、主郭前後の堀切はこの横掘に交差し、更に竪堀が落ちている。つまり主郭の南東・北東は、横堀・堀切・竪堀の交差点となっている。大道城は、堀切・横掘の規模は決して大きくはないが、これらが防御線としてしっかり構築されている。
主郭北側の堀切→DSCN9718.JPG

 尚、大道城から北東に1kmの地点には、山中を通る山道の途中に「門口の門」と呼ばれる遺構がある。大道城の大手門と伝えられ、両脇に切岸・曲輪を築いた枡形通路となっている。
DSCN9541.JPG←門口の門の枡形通路

 いずれの遺構も結構草木が多く、少々確認しにくいのが難である。ちなみにこの城から車に戻り、走り出して少ししたら緊急地震速報が鳴り、車を止めたらグラグラ揺れていた。珠洲で大地震があった時だった。

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:【大道城】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.545458/137.070204/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
    【門口の門】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.553284/137.076395/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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