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田中楯(岩手県北上市) [古城めぐり(岩手)]

DSCN8225.JPG←主郭背後の堀切
 田中楯(田中館)は、歴史不詳の城である。この地は重要道路の交差点であり、田中瀬という中世和賀川の渡し場に近く、交通の要衝を押さえるために築かれた城と推測されている。

 田中楯は、鈴鴨川東岸の比高20m程の段丘突出部に築かれている。この段丘は北に向かって突き出ており、北麓に周囲の平地より一段高い平場があり、楯主の居館地と推測されており、現在は八幡宮が祀られている。八幡宮への参道は、L字型に屈曲した切通しとなっていて、虎口のような形態をしている。その南の段丘上には主郭がそびえている。主郭の前面には腰曲輪が1段築かれているが、西側では横堀に変化している。堀外の土塁上には多数の石が散乱している。主郭はほぼ方形の曲輪で、祠が祀られている。主郭後部には土塁が築かれ、背後に堀切が穿たれている。ここには斜めの土橋があるが、改変されているのか元々の遺構であるのか、よくわからない。主郭背後には南郭があり、南西部に屈曲した空堀があるようだが、薮が多くてよくわからない。以上が田中楯の遺構で、単純な構造の城砦である。
主郭前面の横堀土塁→DSCN8201.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/39.295193/140.978032/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。


中世城郭の縄張と空間: 土の城が語るもの (城を極める)

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  • 作者: 松岡 進
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: 単行本


タグ:中世平山城
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