SSブログ

道坪野城(富山県小矢部市) [古城めぐり(富山)]

DSCN7081.JPG←主郭の北虎口
 道坪野城は、歴史不詳の城である。城主は影野左衛門、また戦国期には七尾城主能登畠山氏の重臣で畠山七人衆の一人、三宅総広一族の三宅新左衛門尉が一時この城に立て籠もったとも伝えられる。この他、城主の名として松岡新左衛門の名も伝わるが、いずれにしても詳細は不明である。佐伯哲也氏は、虎口構造が切山城と似ていることから、前田利家が佐々成政に対抗するために改修した城との説を提示している。

 道坪野城は、国道471号線の南にある標高160mの丘陵上に築かれている。丘陵地の畑の東に溜め池があり、その先に古道が残っている。古道脇に解説板があり東に進んでいくと、城内に入る。城内に古道を取り込んだ縄張りとなっている。城内は激しい笹薮に埋もれており、遺構の把握が大変である。台形状の主郭を中心に、外周に帯曲輪を廻らし、更に南西と南東に腰曲輪を配置している。主郭は外周に土塁を築き、南北両隅に虎口が開かれ、いずれも虎口前面に小さな虎口郭を設けてそこから帯曲輪に降りる構造となっている。古道はこれら城の中心部の南を迂回するように東西に貫通している。南東の古道沿いには土塁を挟んで横堀状の構造があるが、現地標柱では「誘い道」と書かれている。この他、古道に沿った東西の尾根には堀切が穿たれている。この他、主郭南東の腰曲輪には井戸跡もあるらしいが、激しい笹薮で全くわからなかった。以上が道坪野城の遺構で、加越国境城砦群と同様に城内に古道を取り込んでいるが、縄張り面での類似性は前述の虎口構造が切山城と似ているほかはあまり認められない。また、せっかくの遺構が笹薮でほとんどわからず、古道も笹薮に埋もれてしまっているのは非常に残念である。
主郭の土塁→DSCN7092.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.686566/136.830103/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


戦国の北陸動乱と城郭 (図説 日本の城郭シリーズ 5)

戦国の北陸動乱と城郭 (図説 日本の城郭シリーズ 5)

  • 作者: 佐伯哲也
  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2017/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


タグ:中世平山城
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー