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前田沢楯(山形県朝日町) [古城めぐり(山形)]

DSC01764.JPG←ニノ郭から見た腰曲輪と主郭
 前田沢楯は、歴史不詳の山城である。鳥屋ヶ森城のある館山から北西に伸びる尾根の先端に築かれており、鳥屋ヶ森城の北西部一帯の防備の為に構築された、鳥屋ヶ森城の支城と推測されている。

 前田沢楯は、標高270m、比高120mの山上に築かれている。北側尾根筋を登る道もあるようだが、西面が緩い斜面であるので、西側中腹の畑地から適当な斜面に取り付いて直登した。全体としてほぼ方形のプランを持った縄張りで、大きく主郭とニノ郭から構成され、更にその周囲に帯曲輪や横堀を巡らして防御を固めている。主郭とニノ郭の虎口は厳重を極める。主郭の枡形虎口は横堀状となって屈曲し、更に外側に横堀を築いて防衛している。ニノ郭虎口も横堀状の通路となった枡形虎口である。いずれの虎口も川原石による石積みがあり、後世の改変によるものかと思ったが、『山形県中世城館跡遺跡調査報告書』の記載によれば、遺構であるらしい。ニノ郭内には近世の水田跡が窪地となって残っているが、往時の庭園跡ではなかったかと個人的に想像している。主郭は小さく詰丸程度のものだった様だが、主郭背後には土塁が築かれ、その裏は深さ4m程の堀切が穿たれ、西斜面に長い竪堀となって伸び、最下段の帯曲輪に繋がっている。この他、隅櫓の跡なども見られ、小規模な城ながら虎口や櫓台など近世城郭に近い技巧的な造りである。現在残る遺構は、おそらくは、関ヶ原合戦前夜に上杉氏の侵攻に備えて最上氏が構築した戦国末期~慶長期の城であったと想像される。
ニノ郭の枡形虎口→DSC01750.JPG
DSC01827.JPG←主郭虎口を防衛する横堀
堀切から続く長い竪堀→DSC01729.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/38.300411/140.160044/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0

※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。
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