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煙山楯(岩手県矢巾町) [古城めぐり(岩手)]

DSCN8717.JPG←主郭にある塚
 煙山楯(煙山館)は、高水寺城主斯波氏の一族煙山氏の居城である。『煙山村郷土史』によれば、天正年間(1573~92年)の城主は煙山主殿(藤原道国)と伝えられる。

 煙山楯は、城内山から北東に伸びる尾根に築かれている。実相寺の背後に当たるが、明確な道が見つからなかったので、中腹の千手観音堂から尾根を直登して訪城した。途中で気づいたが、どうも北斜面に林業用の歩道がある様だが、登り口がどこにあるのかは確認できていない。結構斜度のきつい尾根なので登るのは疲れるが、登って数分で段曲輪群の平場に至る。その先は尾根を挟みながら段々に曲輪が築かれており、最上部に腰曲輪に囲まれた主郭がある。主郭は比較的小さな曲輪で、中央に大石を組んだ塚があり、後部に土塁が築かれている。塚は、古代の石神信仰に関わる遺跡(磐座)か狼煙台と考えられているらしい。主郭の背後には大堀切が穿たれ、そこから南に落ちる竪堀は、南東斜面の腰曲輪に繋がっている。大堀切の先は自然地形の尾根であるが、少し先に小堀切が穿たれて城域が終わっている。この他、段曲輪群は、登ってきた北東尾根だけでなく、主郭の南東と北斜面にも数段築かれている。しかしいずれも高低差がある上、明確な城道が残っておらず、主郭部とは隔絶している。以上が煙山楯の遺構で、有事の際の詰城という感じの比較的小規模な城砦である。
主郭背後の大堀切→DSCN8721.JPG
DSCN8696.JPG←北東尾根の段曲輪群

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/39.613053/141.106575/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。


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