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小館楯(茨城県大荒町) [古城めぐり(茨城)]

IMG_9762.JPG←主郭北西の櫓台の張出し
 小館楯は、歴史不詳の城である。位置的には大掾氏と江戸氏の勢力圏の接壌地帯に当たり、両者のいずれかによって構築されたと推測されている。南には隣接して大館楯があり、小館楯より規模が大きい城であることから、大館楯を本城とし、その出城として小館楯が築かれていたのではないかと考えられる。

 小館楯は、涸沼東岸の比高17mの丘陵上に築かれている。大館楯とは谷戸を挟んだ独立小丘である。単郭の城で。全周を土塁で囲んだ小さな主郭の周囲に、横堀(一部は腰曲輪)を廻らしただけの簡素な構造となっている。しかし外周横堀に対する横矢掛かりや、南麓からの登城道が繋がる竪堀状虎口に対する前面の櫓台など、防御構造は厳重である。特に北面では櫓台が両翼で張り出して相横矢を掛けている。腰曲輪の削平は綺麗にされている他、竪堀状の虎口は2ヶ所に築かれて、大手虎口には櫓台を備えるなど普請はかなりしっかりしている。また主郭土塁に切れ目があるが、下に城道がないので、堀底に対する射撃口であろうか?
 小館楯は、単郭の小規模な城砦であるが、発達した横矢掛かりを持っている。藪も少なくて遺構の確認がしやすく、小兵力で効率よく守備できるように考えられた縄張りであることがよく分かる。
主郭南東の櫓台と横堀→IMG_9808.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:http://maps.gsi.go.jp/#16/36.271110/140.530694/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0

※東北地方と茨城北部では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。
タグ:中世平山城
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