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二階堂氏館(山梨県甲州市) [古城めぐり(山梨)]

DSCN1587.JPG←館跡とされる松尾神社
(2020年7月訪城)
 二階堂氏館は、鎌倉幕府の評定衆であった二階堂氏の居館である。二階堂氏は政所執事を務めた行村を祖とする一族で、その玄孫貞藤がよく知られている。貞藤は、出家して出羽入道道蘊と称し、その名は『太平記』に顕れる。即ち、後醍醐天皇の倒幕計画が露見した正中の変において、天皇が幕府に送った告文(誓書)を執権北条高時が開封しようとすると、「天子が武臣に対して直に告文を下したことは、異朝(中国)にもわが朝(日本)にも前例がない」として諫止した程の見識を持った、幕府随一の賢才として聞こえていた。倒幕が成り後醍醐天皇が新政を始めた際にも、鎌倉幕府の首脳の一人で言わば「朝敵の元凶」であったにもかかわらず、その才を惜しんで死一等を減じられ、雑訴決断所の寄人に任じられている。しかしその後再び叛したため、六条河原で斬られた。道蘊は、鎌倉末期に牧ノ庄の地頭で、1330年に館の一隅を寄進し、夢想国師を招いて恵林寺を開基したと伝えられている。

 二階堂氏館は、武田信玄の墓があることで有名な恵林寺の近く、松尾神社付近にあったらしいが所在地の詳細は不明である。恵林寺の裏手や松尾神社の背後には土塁があるが、遺構とは即断できないと言う。ここでは『甲斐の山城と館』に従って、松尾神社とその東の松里中学校校地を館跡としておく。尚、道蘊の供養塔が、恵林寺境内(有料拝観エリア内)に残っている。

 お城評価(満点=五つ星):☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.729548/138.717788/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


甲斐の山城と館〈下〉東部・南部編―縄張図・断面図・鳥瞰図で見る

甲斐の山城と館〈下〉東部・南部編―縄張図・断面図・鳥瞰図で見る

  • 作者: 宮坂 武男
  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: 単行本


タグ:居館
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