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津辺城(千葉県山武市) [古城めぐり(千葉)]

IMG_3089.JPG←横矢掛かりの大空堀
 津辺城は、歴史不詳の城である。『上総国誌』によれば、天正年間(1573~92年)には坂田城主井田氏の支配下にあり、その重臣白桝和泉守が城将であったとされる。

 津辺城は、境川の曲流部に付き出した比高40mの台地先端部に築かれた城である。大規模な空掘と横矢掛かりを多用した、技巧的な縄張りを有している。台地南東端に主郭を置き、その北側に広いニノ郭、その西側に三ノ郭・四ノ郭や外郭を配置し、ニノ郭の北側下方にも腰曲輪を配置している。主要な曲輪間は空堀で分断されているが、特に主郭・ニノ郭の西側の空堀は規模が大きく、土気城に匹敵するレベルである。しかも主郭の方はジグザグに屈曲して横矢が掛かり、またニノ郭虎口の土橋に対しても両側の空堀がL字状に入り込み、両翼に張り出した櫓台から虎口に侵入する敵を迎撃できる様になっている。主郭虎口にはしっかりした角馬出が備わり、更に主郭に通じる土橋に対して側方の出枡形櫓台からの横矢が掛けられているなど、虎口構造は厳重を極めている。この他、三ノ郭や四ノ郭外周にも空堀が穿たれ、ニノ郭北側下方の腰曲輪は大きな横堀で分断されている。大規模な掘と横矢掛かり、更に角馬出の存在など、その構造から考えれば小田原北条氏の息の掛かった城であることが明確である。しかし一方で、この地の拠点城郭である成東城からは、作田川の氾濫原を挟んでわずか1.4km程しか離れておらず、同じ北条勢力圏内にこれほどの城を築いた理由は今一つはっきりしない。いずれにしても必見の城である。
ニノ郭の土橋→IMG_3195.JPG
IMG_3146.JPG←主郭の角馬出
 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.615207/140.413369/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1
タグ:中世平山城
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