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実蒔原古戦場(神奈川県伊勢原市) [その他の史跡巡り]

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 実蒔原古戦場は、山内・扇谷両上杉氏が戦った長享の乱の際の古戦場である。1486年に声望の高かった扇谷上杉氏の家宰太田道灌は、主君扇谷上杉定正の糟屋館で謀殺され、道灌死後の翌年、関東管領山内上杉氏と扇谷両上杉氏との間に対立が生じ、長享の乱と呼ばれる動乱となった。相模や武蔵国内で両者が抗争する中、1488年、山内上杉顕定は扇谷上杉氏の本拠糟屋を押さえようと、鉢形城を出兵し一千騎で押し寄せた。そして糟屋館の背後を押さえる、定正の弟朝昌の守る七沢城を攻め落とした。これに対して定正は手兵200騎余りで河越城から駆けつけ、両軍は実蒔原で激突した。実蒔の地形を熟知していた扇谷勢は、寡兵にも関わらず山内勢を討ち破ったと言う。しかし薄氷を踏む勝利であったようで、後に定正はこの戦いを「二度と学ぶべからざる行い」と書状に書いている。尚、従来七沢城の朝昌は、七沢城で討死したと言われていたが、実際はこの後大庭城に移ったと解説板に記載されている。

 実蒔原古戦場は、七沢城の南1.6km程の場所にあり、現在民家の近くの樹の根元に古戦場碑が建っている。付近は広くなだらかな丘陵地で、大兵の展開が可能なほどであり、寡兵で勝てるような要害地形には見えない。顕定が弱かったのか、定正が余程の戦巧者だったのか、どちらかであろう。それにしてもこの古戦場碑は、案内標識もなく近くにめぼしい目印もないので、探すのに苦労した。

 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/35.434082/139.300364/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1
タグ:古戦場
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らんまる

いつも訪問してくださり、かたじけのうございます。

古戦場に立つ木には何故か郷愁を覚えます。

小学校の時に見た「風林火山」では、三船敏郎演じる山本勘助の討死の場面で一本杉に強烈な生死の空しさを感じました(古い!)

家名を残す為に戦った男たちの裏には愛すべき家族がいたのかもしれませんネ。
by らんまる (2011-06-28 21:36) 

アテンザ23Z

>らんまるさん
この木は、多分地元の人達が
(というより、このすぐ近くの民家の方が)
大切に語り継いできた木なのでしょう。

古城にも、樹齢400年とか600年とかいう木が時々見かけられますが、
城がまさに築かれて使われていた歴史の生き証人だったのでしょう。

戦った男達の歴史を、この木も見てきたのかも知れませんね。
by アテンザ23Z (2011-06-30 00:41) 

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