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安国寺館(山形県山辺町) [古城めぐり(山形)]

DSCN5783.JPG←安国寺の楼門
(2020年11月訪城)
 安国寺館は、南北朝時代の寺院城郭である。室町幕府を開幕した足利尊氏・直義兄弟は、南朝方の北畠顕家・新田義貞らを討ち滅ぼしてその抵抗を封じ込めて幕政を安定させると、元弘の乱以来の戦没者の霊を弔うため、全国に安国寺・利生塔の建立を計画した。出羽では出羽按察使(または羽州管領。諸説あり)として山形に入部した斯波兼頼(最上氏の祖)が、1359年に大寺の地を卜して選び、夢窓国師を開山として安国寺を開基したと伝えられる(実際にはこの時夢窓は既に入滅しており、夢窓を開山としたというのは後世の仮託であろう)。安国寺は民衆の信仰の中心でもあったが、南朝側に立つ寒河江大江氏に対する牽制の拠点でもあり、戦時体制を整えた寺院城郭であった。伽藍を庭園を備えた寺の周囲には武士団を居住させ、武力の強化を図るとともに、杉下・蓮台寺地区にも配置して備えを固めていたと言う。お壇の山・西光山館・新館といった塁砦は、安国寺館に関連したものとの説もある。

 安国寺館は、現在も安国寺の境内となっている。山を背後にした立地で、墓地の南側には土塁のような土壇も見られる。明確な遺構はないが、江戸後期に再建された立派な楼門を備えた寺で、歴史の深さを感じさせる。
南側の土塁状の土壇→DSCN5790.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.303661/140.255381/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


山形県の歴史散歩

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