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大沢楯(山形県尾花沢市) [古城めぐり(山形)]

DSCN6075.JPG←三ノ郭の大切岸と空堀
(2020年11月訪城)
 大沢楯は、歴史不詳の城である。楯主は大類源内と伝えられる。位置的には牛房野楯森岡山楯の中間にあり、牛房野楯の前衛の砦であったと推測されている。

 大沢楯は、標高161m、比高40m程の丘陵上に築かれている。牛房野楯と同じ様に多数の曲輪群で構成されている。大きく主郭群・二ノ郭群・三ノ郭群と、西斜面に構築された西郭群から構成され、二ノ郭群・三ノ郭群はいずれも全体として凸字型をした形状となっている。城の南西尾根の先に給水施設が建っており、そこから山林内を北北東に進んでいくと、外周を空堀で囲まれた三ノ郭群が現れる。要塞の如く眼前にそびえ立つ大切岸で、空堀も比較的規模が大きい。三ノ郭群の西側には西郭群の塁線が張り出し、ダイナミックな横矢が掛けられている。三ノ郭群の北東に虎口があり、その先は堀底道となって上に通じている。その上の二ノ郭群・主郭群はいずれも、南西側に空堀を穿って防御している。また塁線が外に張り出して下方の曲輪に対する横矢掛けを強く意識している。主郭は南東側に虎口郭を設け、その間にも横堀を穿ち、虎口郭の下にも横堀が穿たれている。主郭は枡形虎口となっている。主郭の背後は蟻の戸渡り状の細尾根で、堀切は見られない。三ノ郭群の西斜面には多段式の西郭群が築かれている。最下方に土塁が築かれ、谷状に窪んだ部分に虎口が築かれている。この虎口の上には腰曲輪の段があり、上方正面から攻撃できるようになっている。また西郭群の南辺は竪土塁となって三ノ郭に繋がっている。以上が大沢楯の構造で、そびえ立つような大きな城塁と空堀は見応えがある。
主郭外周の空堀→DSCN6146.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.635930/140.421871/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。


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タグ:中世平山城
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