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多田川城(宮城県加美町) [古城めぐり(宮城)]

DSCN2867.JPG←主郭の内枡形虎口
 多田川城は、大崎氏の支城である。城主は、岩手澤城主氏家弾正の家臣多田川大膳とも、大崎氏家臣大谷孫八郎(円幢院の解説版には大谷弥八郎義清とある)とも言われる。いずれにしても大崎氏勢力の城であり、築城は1400年以後とされる。

 多田川城は、円憧院背後の比高40m程の山稜上に築かれている。南麓の民家の入口脇に城址標柱があるが、明確な登道はない様なので、取付きやすそうな円憧院の墓地裏から斜面を直登した。ネットで入手した資料では、西館・中館・東館の3郭があるとしているが、実際には5郭で構成されている。ここでは仮に、西から順に北郭・三ノ郭(西館)・主郭(中館)・二ノ郭(東館)・南郭と呼称する。これらの曲輪が一直線に並び、それぞれ堀切で区画された連郭式の縄張りとなっている。北郭先端と南郭先端の堀切は浅いが、それ以外の堀切はなかなか深い薬研堀となっている。主郭の南東部には綺麗に構築された内枡形虎口がある。また二ノ郭の北東には搦手虎口と思われる虎口郭が付随している。この虎口郭は主郭との間の堀切から通じており、土塁で巻いた櫓台が堀切脇に付いて虎口を形成している。これらの主要な曲輪は、主郭以外は削平が甘く、塁線も不明瞭な部分が散見される。一方で、これらの曲輪の東西の斜面には腰曲輪が築かれている。特に西側は数段に分かれ、土塁や城道らしい跡がある。以上が多田川城の遺構で、基本的には単純な形の連郭式の城に近い形態だが、主郭の内枡形虎口や二ノ郭の虎口郭には見るべきものがある。大崎氏勢力の城としては、設計の新しさを感じさせる。
主郭~三ノ郭間の堀切→DSCN2752.JPG
DSCN2785.JPG←二ノ郭の虎口郭

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.628966/140.838010/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


中世城郭の縄張と空間: 土の城が語るもの (城を極める)

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  • 作者: 松岡 進
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: 単行本


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