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西城・寺山砦(長野県青木村) [古城めぐり(長野)]

DSCN6713.JPG←西城主郭背後の二重堀切
 西城は、歴史不詳の城である。子檀嶺岳から南に伸びる支尾根の標高796mの峰に築かれている。この城に登るには、南東麓の車道脇から登道がある。入口がわかりにくいが、動物除けの柵を入って50mぐらい先に左手に入っていく小道がある。ここから東尾根に建つ弥勒堂の参道があり、この尾根筋を登っていけばよい。尚、この東尾根は、『信濃の山城と館』では大手筋と推測している。弥勒堂付近は岩塊が多いが、これを越えると堀切があり、その上に明確な段曲輪群が現れる。段曲輪群の上には主郭がそびえている。主郭はやや縦長の曲輪で、外周には部分的に石積みが残っている。主郭の前面には前衛の2郭があり、主郭背後には大堀切が穿たれて防御を固めている。この大堀切は二重堀切の内堀で、二重堀切の北には小さな3郭を挟んで更に堀切があり、その北に細長い4郭がある。4郭は南北2段の平場に分かれ、中間部の側方両側には竪堀が落ちている。4郭の北にも堀切があり、ほぼ自然地形に近い5郭があって、城域を画する北端の堀切がある。これら5本の堀切によって、背後の尾根筋を厳重に防御している。一方、南西と南東の尾根にも段曲輪群があり、南東尾根では竪堀や小堀切も穿たれている。この尾根を降っていくと、出砦の寺山砦がある。

 寺山砦は、2つの尾根の合流点にある峰に築かれている。西城との間の尾根には小郭がある。主郭は三角形の平場で、背後の尾根に堀切を穿っている。南東尾根には二重堀切が穿たれているが、二重堀切の横には竪堀がもう1本あって、南斜面は三重竪堀になっている。その先には段曲輪群があるが、『信濃の山城と館』の縄張図にあるTVアンテナは既に無くなっていた。南西尾根には堀切がなく、段曲輪群だけが築かれている。

 以上が、西城・寺山砦の遺構で、西城は石積みが残る主郭と多重堀切が特徴的な城、寺山砦はいかにも出砦らしく小規模かつ単純な構造の砦である。
西城主郭に残る石積み→DSCN6788.JPG
DSCN6856.JPG←寺山砦南東の堀切

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:【西城】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.378977/138.118594/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
    【寺山砦】
    https://maps.gsi.go.jp/#16/36.375971/138.121104/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


信濃の山城と館〈3〉上田・小県編―縄張図・断面図・鳥瞰図で見る

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  • 作者: 宮坂 武男
  • 出版社/メーカー: 戎光祥出版
  • 発売日: 2013/03/10
  • メディア: 単行本


タグ:中世山城
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