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嶺城(群馬県前橋市) [古城めぐり(群馬)]

DSCN0261.JPG←弧を描く四ノ郭北側の空堀
(2019年12月訪城)
 嶺城は、田中城とも言い、厩橋城主北条丹後守高広の家臣田中大弐の居城である。高広は越後の上杉謙信の家臣で、1560年に初めて関東に出馬した謙信は、1563年に上杉方の上野支配の拠点厩橋城に高広を置いて、関東方面の政治・軍事を差配させた。上野に入った高広は、嶺城を築いて田中大弐を置いて守らせたと言う。

 嶺城は、南に向かって張り出した比高20m程の舌状丘陵に築かれている。主郭を中心に、南北に曲輪を連ねた連郭式の縄張りを基本としている。主郭の南に二ノ郭を置き、北には三ノ郭・四ノ郭・五ノ郭を連ね、それぞれ空堀で分断している。空堀は、二ノ郭と主郭の間のものは規模が小さいが、それ以外は規模が大きい。特に四ノ郭北側の空堀は、弓形に弧を描く大空堀である。三ノ郭北側の空堀は、東側で横矢掛りのクランクを設けている。これらの空堀は、西側斜面で竪堀となって落ちている。また主郭から五ノ郭まで、西側には横堀が穿たれ、外側を土塁で防御している。前述の空堀は、この横堀・土塁を貫通して分断している。主要な曲輪の内、しっかりと土塁が築かれているのは主郭だけで、二ノ郭・三ノ郭には部分的に見られるだけである。この他、二ノ郭の南側は台地が削られているらしく、また五ノ郭の北にある城域北端の空堀は、西側1/4だけが残り、残りは埋められてしまっている。嶺城は、良く遺構が残っており、また小さな駐車場が整備され、主郭まで散策路も作られている。整備されているのは主郭だけで、二ノ郭は竹林、三ノ郭は畑、四ノ郭は未整備の薮、五ノ郭は民有地である。しかし地元の人達の、城に対する愛情を感じさせる状態となっている。
主郭西側の横堀・土塁→DSCN0319.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.438909/139.107739/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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