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善昌寺城(群馬県桐生市) [古城めぐり(群馬)]

DSCN0146.JPG←善昌寺境内の五輪塔群
 善昌寺城は、歴史不詳の城である。この周辺の中心城郭とされ、谷津館・中塚城・北山館などは全て、善昌寺城の支城であったと伝えられる。善昌寺城のある善昌寺は、元は806年に伝教大師最澄が上野へ下向した際、先達であった最澄の弟子宥海によって創建された大同寺であったと言われる。南北朝時代の1338年、越前で斯波高経率いる北朝方と激しく交戦していた新田義貞が燈明寺畷で討死し、その首級が京都で晒されると、桃井次郎がその首級を密かに上野国に持ち帰り、新田義貞の執事であった船田長門守善昌に預けた。善昌は主君の首級を手厚く葬り、供養のためこの寺で生涯を終えたと伝えられる。大同寺はそれ以降、善昌にちなんで、善昌寺と称するようになったと言う。
 尚、『太平記』と『梅松論』では、善昌は1336年の第1次京都争奪戦の際、正月16日合戦で討死したとされる。最側近である執事が主君から遠く離れていたとは考えにくく、善昌寺の寺伝は伝説に過ぎないだろう。どちらかといえば、船田善昌の一族の者が、善昌の菩提を弔うために善昌寺を建立し、合わせて新田義貞の菩提も弔ったというあたりが事実に近いのではないかと思う。

 善昌寺城は、前述の通り善昌寺の境内となっている。特に遺構は確認できないが、寺の裏手の高台に新田義貞首塚を初めとする五輪塔群がある。寺の門前の掲示板では、義貞の3男新田義宗の墓もあるようだが、どれが義宗の墓なのかはわからなかった。

 お城評価(満点=五つ星):☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.427912/139.249982/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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タグ:中世平山城
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梅原館(群馬県桐生市) [古城めぐり(群馬)]

DSCN0071.JPG←土塁と堀跡
 梅原館は、桐生氏の初期の居館と考えられている。平安末期から鎌倉初期にかけて、この地を根拠とした足利俊綱(藤姓足利氏、藤原秀郷の後裔)の家臣桐生六郎(前桐生氏)は、梅原館を居館としたと推測されている。室町時代に桐生城が築かれると、桐生城の麓に新たに居館が築かれ、それ以降梅原館は下屋敷となっていたものと考えられている。

 梅原館は、梅原薬師堂・公会堂と民家の敷地となっている。西側に、南北に長いコの字型の土塁が良く残り、空堀らしい跡も見られる。南側に虎口があったらしいが、虎口東側の土塁は民家が建って削られてしまっている。また方形居館であったと思われるが、東側の土塁と空堀は桐生川に削られてしまったらしい。住宅地にしては土塁がよく残っており、見ごたえがある。

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/36.432004/139.355221/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


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タグ:居館
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