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五月館(岩手県一戸町) [古城めぐり(岩手)]

DSCN9891.JPG←主郭背後の二重堀切
 五月館は、小鳥谷(こずや)館とも言い、九戸政実の乱の際に九戸方として奥州仕置軍と戦った小鳥谷摂津守の居城である。伝承では、元は延暦~弘仁年間(782~824年)に蝦夷の酋長遠田公五月によって築かれたとされるが定かではない。1591年、九戸政実の乱が勃発すると、小鳥谷摂津守は九戸方に付いて姉帯城に立て籠もり、豊臣秀吉が派遣した奥州仕置軍と戦ったが、衆寡敵せず落城した。

 五月館は、平糠川西岸の丘陵地に築かれている。北西には旧奥州街道が通り、館の南西の古道脇には「五月舘の追分石」が残っている。館跡は、現在広い畑と笹薮となっている。北東に向かって傾斜した緩斜面上に曲輪群が展開している。主郭は傾斜した広い曲輪で、後部に方形の高台があるが、廃墟となった配水場が建っており改変を受けているので、どこまで往時の形態を留めているのかわからない。この高台の裏には二重堀切が穿たれているが、配水施設によって一部破壊を受けている。主郭内は、高台以外に段差で2段に分かれ、上段は笹薮、下段は畑となっている。主郭の前面には、切岸で区画された腰曲輪群が築かれ、北端に小郭群が見られる。遺構としてはこれだけで、簡素な構造の城館である。
広大な主郭下段の畑→DSCN9910.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/40.161140/141.306410/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1


東北の名城を歩く 北東北編: 青森・岩手・秋田

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  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2017/10/25
  • メディア: 単行本


タグ:居館
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